オンライン決済大手のStripeは4日、パラダイムと共同でステーブルコイン決済に特化したブロックチェーン「Tempo」を正式にローンチした。
Stripeのパトリック・コリソンCEOによると、Tempoは「大規模で実世界での金融サービス用途に最適化された、決済志向のレイヤー1ブロックチェーン」として構想されている。
同社はパラダイムとの提携を通じて、この新たなブロックチェーンを育成してきた。
Tempoのアーキテクチャは毎秒10万件を超えるトランザクション処理と、1秒未満のファイナリティ(取引完了性)を目標に掲げている。
また、内蔵された自動マーケットメーカーにより、あらゆるステーブルコインでのガス代(手数料)支払いをサポートする点が大きな特徴だ。
大規模決済を可能にする新基盤
Tempoはイーサリアム(ETH)と互換性のあるRethを基盤としており、完全なEVM(イーサリアム仮想マシン)互換性を維持している。
これにより、開発者は既存のツールや知識を活用できる。同時に、任意で利用できるプライバシー機能や専用の決済レーンといった独自の機能も提供する。
このプラットフォームは、給与支払いや国際送金、組み込み型の金融口座など、実社会における金融ワークフローを円滑にすることを目的としている。
すでにVisa、ドイツ銀行、Shopify、DoorDash、Revolut、Nubankといった大手企業が初期デザインパートナーとして参加。決済フローのテストや決済統合の具体化に協力している。
コリソン氏は、Tempoが「マイクロトランザクションやAI駆動の決済をブロックチェーン基盤に乗せる」ためのStripeのアプローチだと説明した。
「予測可能で低い手数料とステーブルコインによるガス代サポート」により、企業の導入障壁を引き下げる狙いだ。
既存インフラの課題と開発の背景
Stripeは、既存のブロックチェーンインフラが持つ重大な限界がTempo開発の動機になったと指摘している。
コリソン氏は「既存のブロックチェーンはステーブルコインや高スループット、低遅延の決済に最適化されていない」と語る。
例えば、手数料がユーザーにとって分かりやすい法定通貨建てであることが望ましいが、既存のチェーンは独自のトークンで手数料を要求する。
現在のブロックチェーンの処理性能も決済業界の要件を満たしていない。
ビットコイン(BTC)は毎秒約5件、イーサリアムは約20件のトランザクションを処理するが、Stripeのシステムはピーク時には毎秒1万件以上を処理する必要がある。
このローンチは、2025年7月に可決された米国初のステーブルコイン関連法案「GENIUS Act」など、規制の明確化によって機関投資家の関心が高まるタイミングと重なった。
これにより、ドイツ銀行のような金融機関や、ShopifyのようなEコマースプラットフォームがパートナーとして参加しやすくなった。
パラダイムのマット・フアン氏は「Tempoを分散化と中立性の原則に基づいて構築している」と述べ、ステーブルコインの中立性やパーミッションレスモデルへの移行計画を強調した。
また、金融コンプライアンス要件を満たすための凍結機能なども備えており、ステーブルコインの普及を後押しする可能性がある。
