ワイオミング州は20日、2025年7月までに州独自の暗号資産(仮想通貨)「ワイオミング・ステーブル・トークン(WYST)」を発行する計画を発表した。
WYSTは米ドルと連動したステーブルコインとして設計され、米国債、現金、買戻し条件付き債券(レポ取引)によって完全に裏付けられる。
これは米国の公的機関が発行する初めての法定通貨裏付けの完全準備型ステーブルトークンとなる。
米国初、州発行のステーブルコイン「WYST」とは
WYSTは、ブロックチェーン技術を基盤とし、取引の透明性とセキュリティを特徴とする。
同トークンは米ドルのデジタル表現として機能し、価値の安定性を確保するために堅固な準備金を維持する。
具体的には、法定要件として少なくとも102%の資本準備率を維持することが義務付けられる予定だ。
ワイオミング州はWYSTの準備資産から得られる利息収入を州の収益として活用し、教育やインフラ整備への資金として役立てる計画だ。
このイニシアチブは、金融取引の革新を促進するとともに、ワイオミング州のブロックチェーン革新における先導的地位を強化することを目指している。
ブロックチェーン先進州ワイオミングの取り組み
ワイオミング州は2016年以降、デジタル資産に関する45以上の法律を制定しており、仮想通貨とブロックチェーン技術に対して好意的な規制環境を長年にわたり育成してきた。
特に特別目的預託機関やDAO(分散型自律組織)のための法的枠組みを確立し、デジタルイノベーションのハブとしての地位を確立している。
WYSTの開発は、金融効率性と安定性のためにブロックチェーン技術を活用しようというより広範な取り組みを反映している。
また、ステーブルコインやデジタル通貨に対する全国的な関心が高まる中での動きとしても注目される。
WYSTの技術基盤と運用計画
ワイオミング州はWYSTのホスティングに適したブロックチェーンとして、ソラナ(SOL)、イーサリアム(ETH)、ポリゴン(MATIC)を含む9つの潜在的なプラットフォームを評価している。
相互運用性を高めるためにマルチチェーン展開も検討されており、複数のブロックチェーン上でWYSTが利用可能になる可能性もある。
WYSTは個人と企業の両方に利益をもたらす堅牢な金融エコシステムの創出を目指している。
また、全国的なステーブルコインイノベーションのモデルとしての役割も期待されている。
州発行ステーブルコインがもたらす可能性
州発行のステーブルコインという先例のない取り組みは、米国内の他の州や地域にも影響を与える可能性がある。
WYSTの成功は、公的機関によるデジタル通貨発行の新たなモデルを確立し、ブロックチェーン技術の公共部門への統合を加速させるかもしれない。
また、州の収益源としての側面も注目される。
準備資産からの利息収入は、教育やインフラなどの公共サービスに還元されることで、テクノロジーの革新が直接市民生活の向上につながる好例となる可能性がある。
ワイオミング州のこの野心的なプロジェクトは、仮想通貨とブロックチェーン技術が公共部門に与えるインパクトを示す重要な事例として、今後の展開が注目される。