大手決済企業Visa(ビザ)は7月31日、ステーブルコイン決済プラットフォームの対応通貨を拡大し、新たに3銘柄を追加した。
ステーブルコイン対応拡充
今回対応通貨に加わったのは、ペイパル米ドル(PYUSD)、グローバル・ドル(USDG)、サークル社のユーロ建てステーブルコインEURCの3種類だ。
これにより、既存のUSDコイン(USDC)と合わせて、計4種類のステーブルコインがVisaの決済プラットフォームで利用可能となった。
対応するブロックチェーンネットワークも拡充された。従来のイーサリアムおよびソラナに加え、新たにステラとアバランチが追加され、合計4つのネットワークをサポートする。
この拡大により、米ドルに加えてユーロ建てでのオンチェーン決済や、法定通貨への変換がよりスムーズになる。
PYUSDはPaxos社が発行する米ドルペッグ型ステーブルコインであり、Visaのエコシステムにペイパルが加わる形となる。
また、EURCの導入は、米ドル以外のステーブルコインに対する欧州市場の需要に対応するもので、Visaの国際展開を象徴している。
Visaの分散型決済戦略
今回のVisaの動きには複数の背景がある。
ひとつは、米国で議論が進むGENIUSステーブルコイン法案に代表される規制の明確化だ。これにより、機関投資家による暗号資産(仮想通貨)の採用が加速している。
市場競争の激化も大きな要因であり、競合のMastercardは取引の30%をトークン化している。また、JPモルガンをはじめとする金融機関も仮想通貨決済機能の拡充を積極的に進めている。
Visaにとって、こうした動きへの対抗は不可欠といえる。
2560億ドル規模に成長したステーブルコイン市場は、伝統的金融と分散型システムを橋渡しする重要な役割を担っており、Visaはこの分野での主導権確保を狙っている。
今回のプラットフォーム拡大は、分散型決済システムへの戦略的な移行を示しており、Visaが将来の金融インフラにおける中核機能を見据えた取り組みと位置付けられる。