英スタンダード・チャータード銀行のアナリストはこのほど、ビットコイン(BTC)価格が今週末までに8.85万ドル(約1284万円)に達する可能性があるとの見通しを示した。同時に投資家に対してビットコインの長期保有「HODL」戦略を推奨している。
同銀行の主任アナリスト、ジェフ・ケンドリック氏は、ビットコインが従来の商品である金とは異なり、むしろテクノロジー株のような動きを見せていると指摘。特に米国の経済的孤立などの地政学的リスクに対するヘッジとしての役割に注目している。
ビットコイン(BTC)の価格は5日、24時間比で1.1%の上昇を記録し、8万3764ドル(約1214万円)で推移している。
ビットコインの価格予測と市場動向
スタンダード・チャータード銀行の分析によれば、ビットコインの短期的な動きはマイクロソフトなどの大手テクノロジー企業の株価と連動する傾向があるという。
特にテクノロジーセクターが上昇している時期には、ビットコインも同様のパターンを示すことが多い。
ケンドリック氏は「ビットコインは従来のヘッジ資産としての特性とテクノロジー株の代理としての側面を併せ持っており、投資ポートフォリオにおける多様性を提供する」と説明している。
この予測は、強力なテクノロジーセクターのパフォーマンスと今後発表される経済指標に関連付けられている。
仮想通貨市場への金融機関の参入拡大
注目すべきは、スタンダード・チャータード銀行が最近、世界初のビットコインとイーサリアム(ETH)の現物取引デスクを設立すると発表したことだ。
この動きは、主流の金融機関による暗号資産(仮想通貨)採用の重要な発展を示すシグナルとなっている。
米国でのビットコインETFの承認など、規制環境の変化も機関投資家による投資を促進する要因となっている。ただし、バーゼル規制などの課題も残されている。
経済的不確実性に対するヘッジとしてのビットコイン
ビットコインは経済的孤立やグローバルな政治的不確実性に対するヘッジとしての役割が強調されている。
これは投機的資産としてだけでなく、リスク管理ツールとしてのポートフォリオにおける役割の拡大と一致している。
スタンダード・チャータードのアナリストたちは、ビットコインが複数の経済シナリオや政治的緊張の中でヘッジとして機能する可能性を考慮し、投資家に「HODL」戦略を奨励している。
「HODL」とは、仮想通貨コミュニティで「Hold On for Dear Life」(しっかり握りしめる)の略として使われる言葉で、短期的な価格変動に左右されず長期保有する戦略を指す。
同銀行の仮想通貨取引への参入は、規制上の課題にもかかわらず、大手金融機関によるデジタル資産への広範な関心を反映している。