JPモルガンは29日、コインベースがステーブルコインUSDCを発行するサークルとの提携により、2025年第1四半期に3億ドルの収益を上げたと報告した。
この収益額は、サークル自身の同四半期の純収益2億3000万ドルを上回る。
JPモルガンのアナリストは、この提携がコインベースの株主にとって550億〜600億ドルの価値を生む可能性があると分析している。
USDC提携がもたらす収益構造
コインベースの収益源は、USDCの準備金から得られる利息収入だ。具体的には、自社プラットフォームで保有する130億ドルのUSDCから、四半期で1億2500万ドルの収益を得ている。
さらに、プラットフォーム外のサークルのリザーブファンドからも1億7000万ドルの分配金を受け取っており、こちらはほぼ100%の利益率を誇る。
この好調な業績の背景には、USDCの利用拡大がある。2025年第1四半期において、コインベース上のUSDC残高は前期比39%増の419億ドルに達した。これにより、取引量と利息収入が大幅に増加した。
USDCは米ドルと価値が連動するステーブルコインであり、その安定性が利用拡大を後押ししている。
JPモルガンによる将来性と企業価値評価
JPモルガンは、コインベースの価値を評価する上で、サークル株式の保有よりも、USDCの取引や準備金管理から生まれる継続的な収益が中核的な価値ドライバーだと指摘している。
同行は、2025年末までにUSDC関連の総収入が24億4000万ドルに達し、そのうち約62%にあたる15億ドルをコインベースが獲得すると予測している。
このUSDC事業に対する550億〜600億ドルという潜在的な評価額は、コインベースの現在の時価総額を上回っており、実現すれば大幅な成長が見込まれる。
コインベースの2025年第1四半期の総収益は、前期比10%減の20億3000万ドルだった。一方、USDC関連事業は仮想通貨市場全体の変動の中でも、高い回復力と成長性を示している。
コインベースの戦略は、他の仮想通貨海外取引所にとっても重要な事例といえる。