米ドナルド・トランプ大統領は9日、中国を除く75カ国に対して90日間の関税一時停止を発表した。これを受けて暗号資産(仮想通貨)市場が急反発した。
関税一時停止の発表と仮想通貨市場への影響
トランプ氏は貿易摩擦緩和を目的として、米国の関税に報復措置を取っていない75カ国に対する90日間の関税一時停止を発表。
一方で中国に対しては「不公正な貿易慣行」と「グローバル市場への敬意の欠如」を理由に関税率を125%に引き上げる措置を講じた。
この発表を受けて、伝統的な金融市場では、資金を積極的に運用しようとする傾向が顕著に表れた。その結果、ダウ平均株価(米主要企業の株価総合指数)が2000ポイント上昇する大幅高となった。
仮想通貨市場も同様に強い反応を示し、ビットコイン(BTC)は一時8.2万ドル(約1189万円)を超える水準まで上昇した。
仮想通貨市場の急反発とその要因
ビットコインの価格は発表後に8万ドル(約1160万円)の大台を突破し、価格上昇の勢いは他の主要仮想通貨にも波及した。
イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ソラナ(SOL)などの主要アルトコインも、発表から数時間のうちに10%以上の上昇を記録した。
この急騰の背景には、関税一時停止によって貿易の不確実性が低減したことに加え、ショートポジション(空売り)の大量清算があった。
ニュース発表後の1時間だけで1.9億万ドル(約275.5億円)を超えるショートポジションが清算されたとされている。
仮想通貨市場の展望と専門家の警告
仮想通貨市場のこうした反応は、デジタル資産が世界経済全体の動きに組み込まれるようになり、地政学的要因に敏感になっていることを示している。
特に、政策の不確実性が軽減されることで、伝統的な資産と同様に仮想通貨も急速な価格変動を示すことが明らかになった。
しかし、経済専門家はこの楽観ムードに対して警戒を呼びかけた。継続する金融引き締め、海外からのボイコット、政策の不確実性などを理由に、景気後退の可能性は依然として存在するとの見方を示している。
また、過去に関税一時停止に関する誤った報道が流れた際も仮想通貨市場が敏感に反応したことから、未確認情報に基づく価格変動のリスクも指摘されている。
トランプ氏の関税政策の今後の展開と、仮想通貨相場に与える影響について、投資家たちは引き続き注視している。