ビットコイン採掘企業のBitMine Immersion(ビットマイン・イマージョン)は4日、イーサリアム(ETH)の保有量が83万3000ETHを超え、世界最大の企業保有者になったと明らかにした。
同社は2025年6月30日に積極的なイーサリアム財務戦略を開始。
わずか35日間で、保有するイーサリアム関連の暗号資産(仮想通貨)は29億ドル相当に達した。この結果、ビットマイン・イマージョンは世界で3番目に大きな仮想通貨保有企業となった。
採掘からステーキングへの戦略的転換
ビットマイン・イマージョンがこの大胆な戦略転換に踏み切った背景には、収益構造の変化がある。
2022年にイーサリアムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ移行したことで、マイニングの機会は消滅した。その代わり、ステーキングが収益を得るための主要な手段となった。
ビットコイン(BTC)のマイニングは設備投資競争が激化し、コストが増大する傾向にある。
一方、イーサリアムのステーキングは、より低い運用コストで高いリターンを期待できる。この収益性の高さが、ビットマイン・イマージョンの戦略を後押しした。
市場環境も追い風となった。2025年にはイーサリアムの価格が3600ドルに達し、価格高騰がステーキング報酬への需要を高めた。
今回の戦略は、ファンドストラットのトーマス・リー会長が率いる取締役会が主導した。リー氏は、「効率的なイーサリアム蓄積を通じて5%の錬金術を達成することが目標である」と述べている。
市場の熱狂と今後の展望
ビットマイン・イマージョンの戦略実行の速さは前例のないものだ。同社のイーサリアム保有高は、わずか1カ月でゼロから83万3000ETHへと急増した。この動きは株式市場にも大きな影響を与えている。
ビットマイン・イマージョン株は現在、米国で最も取引量の多い銘柄の一つに数えられる。1日の平均取引高は16億ドルを超え、配車サービス大手のウーバーを上回り、全米で42位にランクインしている。
従来の採掘企業と異なり、ビットマイン・イマージョンはステーキングを事業の核に据えた。これは、よりクリーンで資源集約的でないビジネスモデルへの業界全体の移行を反映している。
ビットマイン・イマージョンの成功は、仮想通貨セクターにおいて、収益性を追求する戦略がプルーフ・オブ・ステークに移行する大きな潮流を示している。