仮想通貨の分離課税はいつから?2025年最新情報を徹底解説

私たちを信頼する理由
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大量の仮想通貨がボックスに入っている

税制改正により、暗号資産(仮想通貨)の課税方法が大きく変わる可能性があることをご存知でしょうか。これまでの総合課税から分離課税への移行は、多くの投資家にとって重要な関心事となっています。

本記事では、仮想通貨の分離課税が日本ではいつから始まるのか、具体的な開始時期や変更点について、2025年最新の情報を入れつつ、わかりやすく解説していきます。

「仮想通貨の税金が20パーセントになるって本当?改正っていつから始まるの?」と疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みいただき、新しい税制度への準備を整えていきましょう。

現在の仮想通貨の税制について

仮想通貨の申告分離課税がいつから始まるのか見ていく前に、現行のビットコインやアルトコインの税金について振り返ってみましょう。

既に仮想通貨税制について理解がある方は、この後の分離課税の解説パートに飛んでもらっても大丈夫です。

仮想通貨の利益は雑所得である

仮想通貨の利益は雑所得である

現在の日本における仮想通貨税制では、取引で得た利益は「雑所得」として総合課税の対象となっています。この制度下では、所得税と住民税を合わせて最大55%もの税率が適用される可能性があり、投資家にとっておすすめ仮想通貨に投資しにくいなど、大きな負担となっています。

仮想通貨(ビットコイン)の税率は以下の通り。

課税される所得金額 所得税率
195万円以下 5%
195万円超~330万円以下 10%
330万円超~695万円以下 20%
695万円超~900万円以下 23%
900万円超~1,800万円以下 33%
1,800万円超~4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%

さらに住民税が一律10%かかるため、最大で所得税と住民税を合わせて55%の税率となります。これは株式投資(約20.315%の一律課税)やFX取引(申告分離課税)と比較して非常に高い税率となっています。

この高税率は、将来有望な人材や投資家、スタートアップの国外流出を引き起こし、Web3領域における日本の国際競争力低下につながっているという指摘もあります。

さらに、現行制度では仮想通貨同士の交換や仮想通貨を用いた決済も課税対象となるため、実用的な活用や仮想通貨のICO参加に踏み出しにくくなっています。

確定申告が必要なケース

確定申告が必要なケース

仮想通貨取引による利益は、現在「雑所得」として扱われ、確定申告が必要となるケースがあります。仮想通貨の確定申告が必要なケースは以下の通りです。

  • 仮想通貨取引による年間所得が20万円を超える場合
  • 給与所得や退職所得以外の所得と仮想通貨所得の合計が年間20万円を超える場合

この20万円という基準は、取引所から出金された金額ではなく、取引による利益から必要経費を差し引いた金額を指します。

確定申告の期限は原則として毎年2月16日から3月15日までで、期限内に申告書の提出と納税を行う必要があります。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が発生する可能性があるため、注意が必要です。

売却以外の仮想通貨の税金がかかるケース

売却以外の仮想通貨の税金がかかるケース

仮想通貨は単に保有しているだけでは課税されませんが、売却以外でも税金がかかるケースがあります。売却せずとも課税対象となる主なケースは以下の通りです。

  • 他の仮想通貨との交換時ビットコインからイーサリアムなど、仮想通貨同士を交換した時点で損益が確定し課税対象となる
  • マイニング報酬の受取時仮想通貨のマイニングで得た報酬は取得時点で課税対象となる
  • ステーキング収益の獲得時ステーキングによる報酬も所得として課税される
  • エアドロップの受領時仮想通貨エアドロップで無償配布されたトークンも取得時の時価で所得計算される
  • 仮想通貨での決済時:商品やサービスの購入に仮想通貨を使用した場合も、その時点での時価と取得価額の差額が課税対象となる

これらの取引は全て記録しておく必要があり、年間の合計所得が20万円を超えると確定申告が必要です。

そもそも申告分離課税とは?なぜ必要?

仮想通貨が積み重なって塔になっている

申告分離課税とは、特定の所得のみを他の所得と分離し、一定の税率で課税する方式です。現在、株式やFXなどの投資所得には申告分離課税(税率20.315%)が適用されていますが、仮想通貨取引の所得は「雑所得」として総合課税の対象となっています。

総合課税では、給与所得など他の所得と合算され、所得額に応じて最大45%(住民税を含めると55%)もの高い税率が適用されます。一方、申告分離課税が適用されれば、所得額に関わらず一律20.315%の税率となるため、高所得者や仮想通貨のプレセールで大きな利益を得た投資家の税負担が大幅に軽減されます。

仮想通貨に申告分離課税が必要とされる主な理由をまとめると、以下の通りです。

  • 投資家の税負担軽減:高所得者やミームコインで大きな利益を得た投資家の税負担が軽減される
  • 国内企業の海外流出防止:現在の高税率により、WEB3.0企業やスタートアップが海外に流出している
  • 損益通算・繰越控除の可能性:申告分離課税になれば、損失を翌年以降の利益と相殺できるようになる可能性がある
  • 新規投資家の獲得:税負担の軽減により、これまで敬遠していた投資家を仮想通貨市場に呼び込める

具体的な税額で比較してみましょう。

会社員で年収433万円、仮想通貨の所得が100万円の場合を考えます。

総合課税の場合は以下の通り。

  • 所得税:533万円×20%-427,500円 = 638,500円
  • 住民税:533万円×10% = 533,000円
  • 合計:1,171,500円

分離課税の場合は以下の通り。

  • 給与所得分:433万円×20%-427,500円
  • 仮想通貨所得分:100万円×20.315%
  • 合計:641,650円

仮想通貨利益が分離課税になることで、529,850円の税負担が軽減されます。

仮想通貨の分離課税に関する政府の動き

仮想通貨の分離課税がいつから実施されるのかを考えるためには、全体の流れを理解することが大切です。ここでは業界団体の提言と、自民党の税制改正大綱を見ていきます。

業界団体の提案

日本ブロックチェーン協会(JBA)をはじめとする業界団体は、2025年度の税制改正に向けて具体的な提案を政府に提出しています。

主な要望内容は以下の通りです。

  • 個人の仮想通貨取引利益に対する課税方法を総合課税から申告分離課税へ変更し、税率を一律20%とすること
  • 損失を出した年の翌年以降3年間、その損失を繰り越して控除できるようにすること
  • 仮想通貨同士の交換時における課税の撤廃
  • 仮想通貨を寄附した際の税制整備

これらの提案は、後述の2025年度税制改正大綱に影響を与えています。

自民党の税制改正大綱

自民党は2025年度の税制改正大綱において、仮想通貨への課税制度を見直す方針を示しました。現在、仮想通貨や草コイン取引の利益は雑所得として最大55%の総合課税が課されていますが、この改正案では金融商品と同様の申告分離課税の導入が検討されています。

自民党の加藤勝信財務大臣は、仮想通貨に関する金融庁の制度検証を2025年6月末までに実施する方針を発表しており、具体的な改正内容として以下が検討されています。

  • 仮想通貨取引による損益を株式やFX取引と同様に一律20.315%の申告分離課税の対象とする
  • 損失の3年間繰越控除を可能にし、投資家が長期的な視点で市場参加できる環境の整備
  • 仮想通貨同士の交換時に課税しない制度の導入により、確定申告の負担軽減と取引の活性化を促進

この制度改正は、国民の資産形成に資する金融商品として仮想通貨を位置づけ、投資家保護を強化しながら国際競争力を確保することを目指しています。

時系列でみる仮想通貨の分離課税への動き

仮想通貨の分離課税を巡る動きを時系列でまとめました。

日付 仮想通貨税制改正に関する動き
2022年11月 自民党Web3PTが20%申告分離課税を目指す緊急提言を発表
2023年7月31日 日本暗号資産取引業協会と日本暗号資産ビジネス協会が「2024年度税制改正に関する要望書」を提出
2024年7月 業界団体から申告分離課税や損失繰越控除の整備を求める要望が相次ぐ
2024年8月 金融庁が課税上の取り扱いを検討すると表明
2024年11月20日 国民民主党の玉木雄一郎代表が与党に対して、仮想通貨の申告分離課税を含む税制改正の要望を提出
2024年12月19日 自民党デジタル社会推進本部と金融調査会が「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」を公表
2024年12月20日 自民・公明両党が2025年度与党税制改正大綱を決定。大綱に仮想通貨税制の改正について明記
2025年2月19日 加藤勝信財務大臣が仮想通貨に関する金融庁の制度検証を2025年6月末までに実施する方針を発表

仮想通貨の分離課税はいつから?今後の展望

仮想通貨が降り注ぎ積み重なっている

仮想通貨の源泉分離課税がいつからなのか、最新の動きと障壁をここでは解説します。

分離課税導入に向けた具体的なスケジュール

2025年度の税制改正において、仮想通貨の分離課税導入が具体化しつつあります。2024年12月に決定された与党税制改正大綱では、「暗号資産を国民の資産形成に資する金融商品として位置づけ、その見直しを検討する」と明記されました。

自民党の加藤勝信財務大臣は2025年6月末までに金融庁による制度検証を実施する方針を表明しており、この検証結果を踏まえて法整備が進められる見込みです。

順調に進めば、2025年末の税制改正大綱に盛り込まれ、2026年度から仮想通貨に一律20.315%の申告分離課税が実現する可能性が高いと予想されています。

ただし、当初は「一定の暗号資産」に限定される見通しで、ビットコインやイーサリアムなどの主要通貨が優先されると予想されています。この改正により、現行の最大55%の総合課税から大幅な税負担軽減が期待できます。

Web3WGの動き

自民党デジタル社会推進本部のWeb3ワーキンググループ(web3WG)は2025年3月6日に「暗号資産を新たなアセットクラスに〜暗号資産に関する制度改正案の概要〜」を公表しました。この提言では、仮想通貨を金融商品取引法(金商法)の枠組みに位置づけ、有価証券とは異なる独自のアセットクラスとして扱うことを提案しています。

この改正案により、仮想通貨取引が20%の分離課税対象となる道筋が示されました。

Web3WGは2025年3月31日までパブリックコメントを受け付けており、寄せられた意見を基に最終的な提言をまとめ、政府や関係省庁に提出する予定です。

分離課税実現への障壁と課題

仮想通貨の分離課税を実現するには、以下のような障壁が存在します。

  • 税収減少への懸念:分離課税導入による税率一律化が、累進課税よりも税収を減少させる可能性が指摘されている
  • 制度設計の複雑さ:仮想通貨同士の交換時の課税撤廃や損益計算の簡略化など、現行制度との整合性を保つ法整備が必要
  • 国民理解の不足:仮想通貨投資が一般的な資産形成手段として認知されるためには、政府による啓発と透明性向上が求められる

これらの課題を克服することで、日本のWeb3競争力を強化し、健全な市場環境を構築することが期待されています。新しい仮想通貨にも投資しやすくなるでしょう。

まとめ

本記事では仮想通貨の分離課税はいつからなのか、そもそもの税金の基本から自民党の動き、実現までの道筋を解説してきました。

仮想通貨の分離課税の検討は2024年から行われており、2026年にはこれまでの総合課税方式から大きく変わることが予想されています。税率が20%に統一され、損益通算の範囲が拡大されるなど、投資家にとってメリットの大きい改正が期待されます。特に、株式投資との損益通算が可能になることで、より柔軟な投資戦略を立てられるようになります。

1000倍仮想通貨など大きな値上がりが見込める銘柄にも投資がしやすくなるため、最新の動向を追っておきましょう。本サイトでは仮想通貨の税金について様々な記事を投稿しているため、税金関連ページも参考にしてみてください。またサラリーマンの方は仮想通貨の税金シミュレーションにて年収別に税額を計算しているため、こちらも参考になるはずです。

仮想通貨の分離課税に関するよくある質問

仮想通貨の税金が20%になるのはいつからですか?

ビットコインで500万円稼いだら税金はいくらですか?

仮想通貨は分離課税になりますか?

ビットコインをほったらかしにしておくと税金はかかりますか?

参考情報

著者: 石井 正悟

ICOBenchライター兼編集者。大手金融機関でのアナリスト勤務の経歴を活かし、2021年より株式や仮想通貨、プレセール分析を開始。複数の大手メディアで執筆者・編集者として従事し、金融とクリプト業界両方の最新情報に明るい。市場分析による価格予想に特に強みを持ち、趣味はオンチェーン分析。