ドナルド・トランプ氏の一族に関連する暗号資産(仮想通貨)プロジェクトWorld Liberty Financialは7月4日、独自トークンWLFIを取引可能にするためのガバナンス投票を提案した。
これまで取引が制限されていたロック状態のトークンをDEXで自由に売買できるようにする内容で、プロジェクトにとって大きな方針転換となる。
米国の独立記念日に発表されたこの動きは、金融の自由と分散化を象徴するものと位置づけられている。
コミュニティ主導への転換と市場開放
WLFIはこれまで譲渡不可能なモデルで運用されてきたが、今回の提案はそれを覆すものだ。こうしたコミュニティ主導の取り組みは、DAOとは何かという議論でも注目を集めている。
6月25日には、プロジェクトがソーシャルメディア上で、ユーザーからトークン取引を求める声があることを認めており、今回の提案はコミュニティの要望に応える形となった。
投票で承認されれば、初期支援者が保有するトークンの一部が即座にアンロックされ、流通市場での価格形成が可能となる。これにより、WLFIの実用性が高まり、コミュニティの参加範囲が広がる。
一方、創設者やチーム、アドバイザーに割り当てられたトークンは当面ロックされたままとなり、プロジェクト側は段階的なアンロックを通じてエコシステムの安定性を維持する方針だ。
規制への配慮と今後の展望
今回の分散化への動きは、トランプ氏との関係性が注目される状況下で、規制当局からの監視を意識した対応とみられる。
特に仮想通貨市場が規制の動向に敏感なため、プロジェクトをコミュニティ主導に移行させることで、特定の個人への依存度を下げる戦略的な側面がある。
今後のロードマップには、排出スケジュールの決定や財務運営など、より高度なガバナンスへの参加が含まれている。
トークンの残りのアンロックや、エコシステムへのインセンティブ設計についても、今後のコミュニティ投票で決定される予定だ。
ただし、技術仕様や実行タイムライン、法的なコンプライアンスに関する詳細は不明な点が多い。
プロジェクトは「近く大きな発表がある」と述べるにとどまっており、現在のところ、当局からのコメントは出ていない。
このような新しい仮想通貨は、投資家にとって大きなチャンスとリスクを同時にはらんでいる。