フォルクスワーゲンの自動運転・モビリティ部門(ADMT)は8日、ソラナ(SOL)ブロックチェーンを基盤とする分散型マッピングネットワークHivemapperとの提携を公表した。
この提携は、同社のロボタクシー事業において、従来の静的な地図をリアルタイムのデータに置き換えることを目的としている。
リアルタイム地図で自動運転の精度向上へ
HivemapperはBee Mapsと呼ばれる分散型地図ネットワークを提供する。これは、世界中の貢献者がBee DVRというドライブレコーダーで撮影した道路映像を集約するものだ。
収集されたデータは、機械学習によって車線や標識、一時的な工事区域などの情報に変換される。
データを提供した貢献者には、報酬として暗号資産(仮想通貨)のHONEYトークンが支払われる仕組みだ。HONEYの価値は約0.01822ドルとなっている。
この報酬システムは、データを提供することでネットワークに貢献し、対価を得るという点で、従来のマイニングとは異なる新しいインセンティブモデルと言えるだろう。
このモデルは、分散型物理インフラネットワーク(DePIN)の原則に沿っている。貢献者がネットワークに参加するには、589ドルのBee DVRを先行して購入する必要がある。
静的地図の限界とブロックチェーンの利点
自動運転システムは、工事区域や車線閉鎖など、刻々と変化する道路状況を正確に把握する必要がある。従来の静的な地図では、こうした動的な環境への対応が困難だった。
ADMTの試験車両は13台のカメラと9台のライダーを搭載し、毎秒5GBものセンサーデータを生成する。
しかし、雨や太陽光の眩しさといった悪条件下では、位置特定のために高精度な地図データが不可欠となる。
Hivemapperのソラナを基盤としたプラットフォームは、データの迅速かつ分散的な検証を可能にする。
これにより、GoogleやHEREテクノロジーズのような中央集権的な地図プロバイダーへの依存を減らすことができる。
この技術は、ドイツのハンブルクで運用中の30台の自動運転ミニバンID.Buzzの試験車両隊や、将来的にはロサンゼルスでの展開にも活用される。
ロサンゼルスでは、Uberとの協業により数千台規模のロボタクシーの導入が計画されている。