米下院は7月16日、暗号資産(仮想通貨)関連の2法案について、最終投票に向けた手続き動議を可決した。
対象は、米国ステーブルコインの指導と確立に関する国家革新法案(GENIUS法案)とデジタル資産市場明確化法案(Clarity法案)。いずれも、下院主導で進められるクリプトウィークの中核をなす法案だ。
トランプ大統領の介入で事態が急転
手続き動議は15日に一度否決されたが、ドナルド・トランプ大統領が共和党保守派の11人を説得し、賛成に転じさせたことで情勢が変化した。
動議は賛成215、反対211の僅差で通過。民主党からの賛成票はなく、党派対立の構図も際立った。
共和党指導部は造反を防ぐため、中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行を禁じる条項をClarity法案に追加。連邦準備制度(FRB)が個人向けにCBDCを発行することを阻止する内容で、保守派の要求に応えた。
法案の統合と今後の見通し
GENIUS法案は、決済用ステーブルコインの連邦規制枠組みを整備する内容で、すでに上院を通過している。下院で可決されれば、大統領の署名を経て成立する見通しだ。
USDTなど民間発行のステーブルコインに対する監督強化を目的としている。
Clarity法案は、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の権限を明確化するもので、今後は上院での審議が予定されている。
成立すれば、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など主要な仮想通貨の分類に法的な明確性が加わると見られる。
このほか、下院ではFRBによるCBDC発行を禁じる別の法案も審議される予定で、仮想通貨を巡る政策論争は大きな節目を迎えている。