アラブ首長国連邦(UAE)の大手銀行RAKBANKが29日、Bitpanda(ビットパンダ)と提携し、個人向けの暗号資産(仮想通貨)取引サービスの登録受付を開始した。
伝統的な銀行が規制下で個人向け仮想通貨取引を統合するのは、UAEで初めての事例となる。
伝統的銀行による初の規制下サービス
この新サービスにより、RAKBANKの顧客はモバイルアプリから直接、仮想通貨の購入、売却、交換が可能となる。取引はUAEの法定通貨ディルハム(AED)建てで行われ、外国為替手数料や為替リスクが排除される。
取り扱う仮想通貨には、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、リップル(XRP)が含まれる。
サービスの運営は、ドバイ仮想資産規制庁(VARA)から認可を受けたBitpanda Broker MENA DMCCが担う。
顧客はRAKBANKの当座預金口座または普通預金口座から直接資金を引き落として取引できるため、従来の仮想通貨取引所を介す必要がなく、手続きが大幅に簡素化される。
提携を後押しした市場環境と規制
この提携の背景には、UAEにおける先進的なデジタル資産規制の存在がある。特にドバイ仮想資産規制庁が整備したコンプライアンス体制が、RAKBANKのサービス開始を後押しした。
また、UAE国内では個人投資家の仮想通貨に対する関心が高まっており、同国が仮想通貨のハブとしての地位を強化する中、伝統的金融機関にも利便性の高いソリューションが求められていた。
RAKBANKは独自システムの開発を避け、ビットパンダの既存インフラを活用することで、開発コストと市場投入までの時間を削減した。
ビットパンダは、ドイツ銀行やライファイゼン銀行など欧州の主要金融機関との協業実績もあり、その信頼性が評価された。
サービスは当初、招待制で一部の顧客を対象に提供され、今後数カ月で対象が拡大される予定だ。ビットパンダの副CEOは、「この提携が地域におけるデジタル資産の重要な節目だ」と述べている。
特にイーサリアムは、スマートコントラクト機能を備え、dAppsの基盤として広く活用されている。