トランプ家が支援する暗号資産(仮想通貨)マイニング企業のアメリカン・ビットコインは10日、215ビットコイン(BTC)を保有していることが明らかとなった。
2025年4月の設立以来蓄積したもので、現在の価値は2300万ドル(約33億3500万円)を超える。同社は米SECへの提出書類で、ビットコインを長期的に保有する方針を明確にした。
アメリカン・ビットコインは、トランプ米国大統領のエリック・トランプ氏が共同設立者の一人であり、ドナルド・トランプ・ジュニア氏も関与している。
同社は、市場価格以下で仮想通貨を生産し、戦略的な備蓄を構築することを目指すとしている。
🇺🇸 UPDATE: Eric and Donald Trump Jr.-backed American Bitcoin quietly accumulates 215 $BTC ($23M+) since April launch ahead of public merger. pic.twitter.com/tCSw4IFr8T
— Cointelegraph (@Cointelegraph) June 10, 2025
ナスダック上場企業との合併と事業戦略
アメリカン・ビットコインは2025年5月、ナスダックに上場する仮想通貨マイニング企業グリフォン・デジタル・マイニングとの合併計画を発表した。
この合併により、ティッカーシンボルABTCとしてナスダックへの上場を目指す。
市場の変動性にもかかわらず、公開市場を活用して成長を図る動きだ。
この発表後、グリフォンの株価は急騰し、市場がこの取引に期待を寄せていることが示された。
株価は数ヶ月前の0.16ドルから一時2.50ドルまで上昇し、その後1.38ドルで落ち着いた。
同社は利益最大化を目指す従来のマイニング企業とは一線を画す。
ビットコインの生産を永続的な所有権へと転換するレイヤー2戦略を掲げ、自らをビットコイン蓄積プラットフォームと位置付けている。
この戦略は、価格変動に左右されず資産を長期保有する機関投資家の動きと一致する。
政治的背景と倫理的懸念
トランプ家の仮想通貨事業への関与は、その政治的な影響力から厳しい視線を集めている。特に、政治的地位を利用した利益相反の可能性が指摘される。
アメリカン・ビットコインの動きは、ドナルド・トランプ米国大統領に関連するミームコインなど、一族の広範な仮想通貨への関心の一部と見られている。
また、仮想通貨ロビー団体Fairshakeからの選挙資金提供との関連性も報じられており、倫理的な懸念が浮上している。
アメリカン・ビットコインは独自の蓄積戦略と政治的知名度を背景に事業を拡大する一方、その透明性や規制遵守の在り方が今後の焦点となる。
今回のアメリカン・ビットコインの事例は、政治と仮想通貨が交差する新たな局面を示唆している。