元NFLスター選手のトム・ブレイディ氏は26日、ボストンを拠点とするAI金融スタートアップ「カテナラボ」の1800万ドル(約25億7000万円)の資金調達ラウンドに参加したことが分かった。
カテナラボは、自律的な人工知能(AI)エージェントが独立して取引を実行できる「エージェンティック・コマース」と呼ばれる概念に焦点を当てている。
同社は従来の決済システムと、ステーブルコインUSDCなどのブロックチェーンインフラを橋渡しし、企業や消費者向けの安全なAI主導取引を促進することを目指している。
有力投資家による資金調達
今回の1800万ドルのシード資金調達ラウンドは、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の暗号資産(仮想通貨)部門「a16zcrypto」が主導した。
Circle Ventures、Coinbase Ventures、スタンフォード大学エンジニアリング・ベンチャーファンドが参加している。さらに、バラジ・スリニヴァサン氏やTwitchのケビン・リン共同創設者といった著名なエンジェル投資家も名を連ねている。
カテナラボのショーン・ネヴィル共同創設者は、ステーブルコインUSDCの開発者としても知られる人物だ。
同氏は「AIツールが相互作用できるインフラを構築する」というビジョンを掲げ、従来の銀行システムが自律的なAIエージェントには不適切だと指摘している。
同社は既に「エージェント・コマース・キット」と呼ばれるオープンソースツールキットをリリースし、AIシステムが身元確認と決済を自律的に処理できる環境を提供している。
仮想通貨分野へ復帰
ブレイディ氏のこの投資は、2022年のFTX破綻後の慎重ながらも意図的な仮想通貨分野への復帰を示している。
2022年のFTX騒動では、同氏は財政的損失と法的精査に直面した。現在、FTX関連の法的請求の大部分は解決されているが、一部の訴訟は継続中だ。
今回の投資先選択は、強力な機関投資家の支援(a16zcrypto、サークル)と技術的な焦点(AI、ステーブルコイン)を持つプロジェクトを選ぶことで、過去のリスクを軽減しようとする戦略的な判断とみられる。
ブレイディ氏の出資額と持分は非公開だが、同氏の参加はカテナラボの事業拡大において注目と信頼性をもたらすと期待されている。