テザーCEO、USDT監査の実施計画を発表|透明性向上へ向け

私たちを信頼する理由
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テザーのステーブルコインと監査報告書、背景にアメリカ国旗がある様子

ステーブルコイン「USDT」の発行企業であるテザー社のパオロ・アルドイノCEOは21日、ロイター社とのインタビューで、「Big Four」と呼ばれる大手会計事務所による準備金監査を実施する計画を発表した

テザー社の発行するステーブルコイン「USDT」の時価総額は28日、時価総額は約1,440億ドル(約21.5兆円)に達している。

USDTはステーブルコイン市場で最大のシェアを有し、特に発展途上国を中心に4億人以上が利用しているとされる。

同社は長年、準備金の透明性について批判を受けてきた。テザーはUSDTが1対1で準備金によって裏付けられていると主張してきたが、包括的な監査を提供していなかった。

テザー、透明性向上へBig Four監査を推進

大手会計事務所による監査の動きは、USDT準備金の透明性に関する過去の批判に対処し、市場での信頼性を高めるための重要な一歩といえる。

テザーのこうした監査への取り組みは、増加する規制要求に対応する努力を反映している。監査の実施により、ステーブルコインとしての信頼性強化が期待される。

米国の規制環境とテザーの戦略

米国では、ステーブルコインに関する規制法案(STABLEおよびGENIUS法案)が提案されており、これらが成立すればテザーの準備金資産に調整が必要になる可能性がある。

アルドイノCEOは、現在の米国政権下での規制環境が、より円滑な監査とコンプライアンスプロセスを促進するとの見方を示した。

特に、トランプ政権の仮想通貨に対する姿勢が、テザーの組織的な野心と戦略的な規制統合を進める上でプラスに作用する可能性があるとの見方を示している。

ステーブルコイン市場の競争激化と将来展望

テザーはUSDCなど他のステーブルコインとの競争も激しくなっている。特に規制が進化するにつれ、市場シェアの維持が課題となっている。

欧州ではMiCA規制の影響で、USDTは上場廃止や規制上の障壁に直面しており、 ステーブルコインの将来は、米国と欧州の両方での規制環境の進展に大きく左右される。

明確な規制は機関投資家の信頼を高める可能性がある一方、テザーのような発行体には資産の再調整が必要になる可能性もある。

現在の市場環境において、テザーは規制コンプライアンスと市場シェアの両方のバランスを取りながら、米国での事業拡大を模索している。

Big Four会計事務所による監査の実施と米国での事業拡大は、テザーにとって重要な戦略的ステップとなりそうだ。

峯 竜也

暗号資産とブロックチェーン技術に特化したジャーナリスト。業界の最新動向や市場分析を発信。技術的な深掘りから初心者向けガイドまで、幅広い読者に向けたコンテンツ制作を得意とする。