ステーブルコイン、USDCを発行するCircle社のジェレミー・アレールCEOは15日、ステーブルコインはiPhoneの登場に匹敵する重要な転換点に近づいているとの見解を示した。
同氏は、プログラム可能なデジタルドルが普及すれば、インターネット全体で大規模な潜在能力と機会が解き放たれると予測している。
そして、ステーブルコインを「これまでに作られた中で最も実用性の高いお金の形」と表現した。その背景には、決済や金融アプリケーションにおいて、プログラム可能性と世界的な相互運用性を実現できるという強みがある。
同氏は、業界がまだモバイル技術に革命を起こした2007年のiPhoneのような決定的な瞬間、iPhoneモーメントには至っていないとしながらも、その時は近いと確信している。
企業導入の加速が示す未来
ステーブルコインの普及に向けた動きは、大手企業の間で具体化している。eコマース大手のShopifyは、2025年末までにUSDCによる決済を可能にすると発表した。一部の事業者は6月13日から先行して利用できる。
ShopifyのCEOは、ステーブルコインがインターネット取引に自然に適合すると述べ、決済インフラ構築のためにCoinbaseと協力したことを明らかにしている。この提携は、テクノロジー企業とブロックチェーンプラットフォームの連携が深まっていることを示す事例だ。
このような動きは、仮想通貨海外取引所での取引においても、ステーブルコインの利用が一般化しつつある現状を反映している。
さらに、米国の小売大手であるWalmartやAmazonも、独自のドル建てステーブルコインの開発を検討していると報じられている。こうした動きは、企業が決済手段としてのステーブルコインの拡張性に大きな信頼を寄せていることを物語っている。
開発者が拓くプログラム可能な通貨の可能性
ステーブルコインの真価は、そのプログラムの可能性にある。開発者は、従来の銀行システムを介さずに、国境を越えた決済や分散型金融(DeFi)ツールといった低コストの金融アプリケーションを構築できる。
例えば、開発者はステーブルコインを基盤として、新たなDEX(分散型取引所)を構築することも可能だ。
この点は、金融イノベーションにおける摩擦を減らすという、ベンチャーキャピタルa16z Cryptoの分析とも一致する。
スタートアップ企業はステーブルコインを利用することで、これまで高コストであった金融サービスへ安価にアクセスできるようになり、金融インフラへのアクセスが民主化される可能性がある。
暗号資産(仮想通貨)が抱える価格変動の問題を克服したステーブルコインは、日常的な国際取引においても実用的な選択肢となりつつある。
アレール氏の予測は、開発者の採用、金融機関との連携、そして企業の投資に後押しされ、ステーブルコイン業界が変革的な金融ツールを提供する寸前にあるという信念を強調するものだ。