フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルの暗号資産(仮想通貨)部門であるSG-FORGEは10日、米ドルに連動する新たなステーブルコイン「USD CoinVertible(USDCV)」のローンチを発表した。
この新しいステーブルコインは、イーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)のブロックチェーン上で発行される。同社は2023年4月にもユーロ建ての「EUR CoinVertible(EURCV)」をリリースしており、今回の発表はそれに続くものだ。
SG-FORGEは、世界的にシステム上重要な銀行(G-SIB)の子会社として、パブリックブロックチェーン上でステーブルコインを発行する初の企業となる。
USDCVは機関投資家と個人顧客の両方を対象とし、資産取引や国際決済に利用できるデジタル通貨への24時間アクセスを提供する。
規制準拠と機関投資家向けの信頼性
USDCVは、欧州の仮想通貨市場規制(MiCAR)に準拠して設計されている。MiCARは、EU全域で仮想通貨に関するルールを統一する包括的な枠組みである。
SG-FORGEはフランスで電子マネー機関としてのライセンスを取得しており、規制の枠組みを遵守する姿勢を明確にしている。
資産の保管には、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNY)が協力する。BNYはサークル社のUSDCやブラックロックのファンドでも資産管理を担っており、機関投資家からの信頼性を高める狙いがある。
ステーブルコイン市場では米ドルが圧倒的なシェアを占めており、この市場需要に応えることも発行の背景にある。一方で、規制上の理由から、USDCVは米国居住者には提供されない。
戦略的背景と今後の展望
USDCVの取引開始は2025年7月初旬を予定しており、まずはMiCARの枠組みの下で欧州市場をターゲットとする。主な用途として、デジタル資産取引、国際送金、ブロックチェーン上での取引処理などが想定されている。
SG-FORGEのジャン=マルク・スタンジェCEOは、市場における米ドルの支配的な地位を考慮すると、米ドル建てステーブルコインの提供は戦略的に不可欠であると述べた。同社は、伝統的な金融と分散型ネットワークを繋ぐ先駆的な役割を担うことを目指している。
また、イーサリアムとソラナという2つの主要なブロックチェーンで展開することで、相互運用性と拡張性を確保する。特にソラナは、その高速な処理性能と低コストな取引手数料により、近年注目を集めているブロックチェーンである。
これにより、機関投資家が求める多様なニーズに対応していく方針だ。