スイス国立銀行(SNB)は25日、ビットコイン(BTC)を公式準備資産に追加しないことを決定した。
SNBのマーティン・シュレーゲル総裁は銀行の総会で、「暗号資産(仮想通貨)は現在、当行の通貨準備の要件を満たすことができない」と述べた。
市場の流動性と高い価格変動性が主な懸念事項である。
ビットコイン追加見送りの背景
仮想通貨支持者らの研究によると、SNBが2015年からポートフォリオにビットコインを少量(例えば1%)配分していれば、ボラティリティをわずかに増加させるだけで、リターンはほぼ倍増した可能性があるという。
しかし、SNBは仮想通貨市場の流動性と価格変動に関連する潜在的なリスクを考慮し、保守的な姿勢を維持することを優先している。
SNBはビットコインを準備資産として直接保有していないが、間接的なエクスポージャーは持っている。
同行の総準備資産は約128兆7000億円(9000億ドル)を超え、主に多様な外貨資産と約13兆4420億円(940億ドル)相当の金で構成されている。
保守的な管理方針と国内外の動向
今回の決定には、いくつかの要因が影響している。新しい仮想通貨は市場混乱時の流動性が不確かであり、安定した準備資産としての適性を損なうと見なされている。
スイス国内では、SNBの準備資産にビットコイン保有を義務付けるよう憲法改正を求める動きが強まっている。
2025年6月30日までに10万人の署名を集め、議会での議論を目指すキャンペーンが開始された。
しかし、過去の同様の取り組み(2021年など)は可決に至っておらず、慎重なアプローチが反映されている。
今後の展望とスイスの立場
この決定は、仮想通貨に友好的な国としてのスイスの評判を維持しつつも、公式な金融政策においては慎重さを堅持する姿勢を明確にした。
SNBはビットコインの潜在的な投資価値を認識しているものの、準備資産の管理においてはリスクと安定性を最優先している。
準備資産としてのビットコインを巡る議論は、仮想通貨市場の継続的な発展や地政学的な金融政策の変化によって、今後も続く可能性が高い。
ビットコイン支持者の一人であるビットコイン・スイスのルツィウス・マイサー氏は、「世界が多極化に向かう中で、ビットコインを保有する方が合理的だ」と述べ、ドルやユーロの弱体化が進む現在、その必要性は一層高まっていると主張している。
今回SNBはビットコイン採用を見送ったが、依然として個人投資家の間では仮想通貨おすすめ銘柄への関心が高い。