Eコマース大手Shopifyは12日、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースおよび決済インフラ企業ストライプとの提携を通じ、USDCによる決済を導入した。
これは、Eコマースにおける仮想通貨の普及に向けた大きな一歩だ。この機能は2025年6月下旬に米国と欧州の加盟店で試験導入され、年末までに全世界へ展開される計画だ。
Shopify will enable USDC (Stablecoins on @Base) in Checkout via Shopify Payments and Shop Pay. Early access starts today, roll out throughout the year.
We think that stablecoins are a natural way to transact on the Internet and worked with coinbase to develop the commerce… pic.twitter.com/o6jme8kSha
— tobi lutke (@tobi) June 12, 2025
決済の仕組みとインフラ
Shopify加盟店の決済オプションとして、USDCによる支払いがデフォルトで有効になる。仮想通貨決済を希望しない加盟店は、手動で設定を無効にする必要がある。
取引は、コインベースが開発したイーサリアム(ETH)のレイヤー2ネットワーク「Base」上で行われる。この提携では、チャージバックや返金といった小売業特有の課題に対応するプロトコルも共同で開発されている。
ストライプは受け取ったUSDCを自動で現地通貨に両替し銀行口座へ入金するため、加盟店は会計処理の負担なく仮想通貨決済を導入できる。
世界展開と市場への影響
初期段階でのストライプとの統合は、米国、ユーロ圏、日本を含む34の主要市場をカバーする予定だ。この広範な展開は、世界中の加盟店にとって新たな顧客層へのアクセスを意味する。
国境を越えた決済ソリューションとしては、リップル(XRP)も注目されているが、今回のShopifyの取り組みはステーブルコインの優位性を示す形となった。
加盟店へのインセンティブとして、USDC取引に対して0.5%のキャッシュバックが提供される。また、2025年後半には顧客向けのリワードプログラムも開始される予定だ。
ストライプは過去2年間で約940億ドル(約13兆5360億円)のステーブルコイン決済を処理しており、今回の提携によりShopifyはステーブルコイン導入の最前線に立つことになる。
この動きは、USDCの発行元であるサークル社の上場計画とも重なり、USDCがテザー(USDT)に迫る足がかりとなるとみられる。
デフォルトで有効なオプトアウト方式と自動化されたインフラにより、仮想通貨導入のハードルが大きく下がる。Baseが裏側で取引の複雑さを処理するため、加盟店は負担なく仮想通貨決済を利用できる。
Shopifyのこの取り組みは、Eコマースの新たな標準を形作り、仮想通貨決済の普及を加速させると期待される。