NFTコレクション開発を手掛けるCyberKongzは16日頃、米証券取引委員会(SEC)からWells notice(ウェルズノーティス)を受け取ったことを明らかにした。
CyberKongzは、Web3ゲーム分野で活動しており、ブロックチェーンを基盤としたゲーム内で使用可能な2Dおよび3Dの非代替性トークン(NFT)アバターなどを提供している。
今回のWells noticeは、SECがCyberKongzの発行するERC-20トークンについて、証券として登録せずにゲームへ統合している点を問題視している可能性を示唆している。
規制の焦点:トークンの証券性と過去の経緯
SECが懸念している核心は、特定のトークンが投資契約、すなわち証券の性質を持つかどうかという点にある。
CyberKongzのケースでは、トークンがゲーム内ユーティリティを持つだけでなく、投資対象としても機能している可能性が指摘されているのかもしれない。
SECは、トークンをブロックチェーンゲームに統合する行為自体が、未登録証券の募集・販売にあたる可能性があるという見解を示している。この解釈が広く適用されれば、多くのWeb3プロジェクトが証券法の規制対象となり、コンプライアンス負担が増大する可能性がある。
さらにSECは、2021年4月に行われたGenesis Kongz NFTの「販売」についても調査対象としている模様だ。これに対しCyberKongz側は、これは新規販売(プライマリーセール)ではなく、既存のNFT保有者向けの契約移行プロセスであったと主張している。
業界への波紋と今後の展望
SECによる今回の措置は、NFTゲームおよびWeb3セクター全体に影響を及ぼす可能性がある。
規制当局がトークンの証券性を厳格に問い、コンプライアンス要件を強化すれば、特に新しい暗号資産(仮想通貨)にとっては大きな障壁となり、イノベーションの速度を鈍化させる懸念がある。
CyberKongzとその支持者の一部は、今回のSECの動きの背景に、現政権下での「反暗号資産」的な政治的意図があるのではないかと見ている。彼らは、将来的な政権交代や、より明確で業界の実態に即した規制枠組みの導入に期待を寄せている。
こうした規制上の課題にもかかわらず、市場の反応は比較的冷静であった。Wells noticeが公表された後も、CyberKongz NFTコレクションのフロアプライス(最低取引価格)は一時的に上昇するなど、底堅さを見せた。
これは、市場参加者が規制リスクを認識しつつも、プロジェクト自体の価値や将来性を評価している表れかもしれない。
CyberKongzは今後、SECに対して反論を行うと見られる。この事例の進展は、他の多くのNFTプロジェクトやWeb3ゲーム開発企業にとって、今後の事業展開やトークン設計における重要な判断材料となるだろう。