ロビンフッドは6月30日、EUの顧客向けにトークン化された株式とETFの提供を開始した。
ギャラクシーリサーチは、この動きが伝統的金融機関の優位性に挑戦するものだと分析している。
この取り組みは、TradFiとDeFiの融合を目指す潮流の一部とされる。ロビンフッドは、より効率的でアクセスしやすい代替システムの提示を通じて、既存の金融インフラに変革を迫る構えだ。
新ブロックチェーンで24時間取引を実現
ロビンフッドの新サービスは、Arbitrum Orbitを基盤に構築されたロビンフッド・チェーン上で展開される。これにより、ユーザーは取引所の営業時間に縛られずに取引ができる。
トークンはアップルやテスラなど実在の株式価格に連動する合成デリバティブで、資産は米国の認可を受けたブローカーが保管する。
当初は週5日・24時間の取引に対応し、将来的に週7日での稼働を目指している。
この仕組みには、ロビンフッドが買収した暗号資産(仮想通貨)取引所、ビットスタンプの技術と体制が活用されている。ユーザーは自己管理型ウォレットでdAppsと直接やり取りが可能だ。
伝統的金融への挑戦と市場への影響
ギャラクシーリサーチは、トークン化資産の普及でNYSEなどに集中していた流動性がオンチェーンに分散する可能性を指摘。NFTとは異なるが、ブロックチェーン技術の可能性を広げる応用例としている。
ブロックチェーンが可能にする24時間取引と即時決済により、伝統的取引所の取引手数料や市場データ収益への影響も想定される。
また、ユーザーは仲介業者を介さずに取引でき、トランザクションの高速処理やコスト削減といった点でも、従来の金融インフラに対して明確な技術的優位性を持つ。
競合他社のクラーケンやコインベースも類似のトークン化モデルを模索しており、DEXのような新たな金融の形が広がりつつある。
ロビンフッドがEUを選んだ背景には、比較的寛容な規制環境での実績づくりを通じた将来的な展開戦略があるとみられる。