リップル社とSEC、長期訴訟和解に向け控訴手続きを一時停止

私たちを信頼する理由
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リップル社とSECの和解交渉を象徴する握手と裁判所の背景にあるXRPシンボル

リップル社(Ripple Labs)と米国証券取引委員会(SEC)は10日、長期にわたる訴訟の「交渉による解決」を目指すため、それぞれの控訴手続きの一時停止を共同で要請した

リップルとSECの法的争いの背景

SECとリップル社の法的争いは2020年12月に始まった。SECはリップル社によるリップル(XRP)トークンの販売が未登録の証券販売に当たると主張した。

これにより、暗号資産(仮想通貨)が証券として分類されるかどうか、重要な議論を引き起こした。

2024年8月、地方裁判所はリップル社に1億2500万ドル(約183億円)の罰金を支払うよう命じる判決を下した。

これを受け、SECはリップル社に有利な判決部分について控訴し、リップル社もまた不利な部分について交差控訴を行っていた。

和解交渉の内容と意義

今回の共同申立てによると、両者は「原則的合意」に達し、SECの正式承認を待っている状態だという。

和解案には、リップル社が当初の罰金1億2500万ドルのうち5000万ドル(約71億5000万円)を支払い、残りは預託口座から返還される内容が含まれている。

この動きの背景には、SECの仮想通貨に対する姿勢の変化がある。

SECは最近、デジタル資産の規制に対する新しいアプローチを採用し、一部の仮想通貨関連の訴訟での控訴を取り下げる決定をした。

特に「ミームコイン」は証券とは見なさないという発表は、規制姿勢の緩和を示唆している。

仮想通貨業界への影響と今後の展望

リップル社の法的戦略は、米国の選挙やSEC指導部の変更など、政治的要因の影響も受けている。

同社は「仮想通貨支持」の候補者を積極的に支援し、政治活動委員会に多額の寄付を行ってきた。

この和解への動きは、米国の仮想通貨業界全体にとって重要な意味を持つ。他の仮想通貨が証券法の下でどのように扱われるか先例となる可能性があるからだ。

和解が成立すれば、業界全体の規制環境に明確さをもたらし、仮想通貨の法的地位に関する重要な指針となるだろう。

両当事者は、和解の最終調整を進める中で、司法と当事者の負担を軽減する方向で動いている。

この交渉は、複雑に絡み合う法的・政治的課題に対処しながら、仮想通貨の法的明確化を図る規制当局の継続的な姿勢を示している。

松田 明日香

暗号資産投資を2020年に始め、ビットコインやNFT、DeFiなど複数の分野で投資経験を有する。2025年1月にICOBenchに参加し、専門的な暗号資産ライティングを手掛けている。