決済大手PayPal(ペイパル)は16日、同社の米ドル連動型ステーブルコインPYUSDがアービトラムネットワークに対応したとする内容を、更新済みの利用規約で示した。
PYUSDは、これまでイーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)のブロックチェーン上で利用されていた。
発行元はパクソス社で、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の規制下、米ドル預金や米国債などの裏付け資産によって価値が保証されている。
アービトラム対応で取引効率向上へ
今回の対応は、イーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションであるアービトラムを採用することで、取引効率を向上させることを目的としている。アービトラムは、低手数料と高速な処理能力が特徴だ。
この動きは、DeFi領域でのPYUSDの競争力を高めるというPayPalの戦略と一致する。アービトラムは、多くのDeFiアプリケーションが稼働する主要なエコシステムの一つであり、今回の対応は意義深いものとなる。
また、ステーブルコインのマルチチェーン対応は、アクセシビリティと相互運用性の向上を目指す業界全体のトレンドを反映している。
パクソスによるブロックチェーン対応の拡大も、NYDFSの監督下で進められている。
ユーザーの利便性向上と市場での位置づけ
PayPalおよび傘下のVenmoでは、ユーザーが保有するPYUSD残高が、イーサリアム、ソラナ、アービトラムを横断して統合的に表示される。この統一表示により、外部ウォレットへの送金手続きが簡便になる。
拡大するユースケースに支えられ、PYUSDの時価総額は約8億4400万ドル(約1257億5600万円)に達している。
更新された利用規約には、アービトラムネットワークに特有の取引制限が盛り込まれており、ネットワークごとの流動性管理が行われていることが読み取れる。
今回の対応は、パクソスが2024年9月に発表した、アービトラム上でのトークン化プラットフォーム展開計画と連動した動きといえる。
PayPalは、伝統的金融とブロックチェーン技術の融合を推進し、スケーラビリティとユーザーの柔軟性向上に注力している。