北米の太陽光発電大手のSOLARBANK(ソーラーバンク)は3日、ビットコイン(BTC)を戦略的準備資産として財務戦略に組み込む方針を発表した。
ナスダックに上場する同社は、北米全域で分散型太陽光発電、蓄電池、クリーンエネルギーインフラを手がける業界リーダーだ。
企業財務の新潮流と導入の背景
ソーラーバンクは今回の決定について、マイクロストラテジーによるビットコイン(BTC)戦略や、シャープリンク・ゲーミングが採用するイーサリアム(ETH)活用型の財務モデルを参考にしたと説明している。
現在、こうした暗号資産の活用は複数の上場企業に広がっており、特にイーサリアムなどのスマートコントラクト基盤を持つプラットフォーム型トークンも、新たな資産運用手段として注目されている。
実際の運用にあたっては、コインベース・プライムの機関投資家向けアカウントを申請済みであり、BTCの保管やUSDCによる運用、セルフカストディ型ウォレットの導入も予定しているという。
財務戦略としてのビットコイン採用理由
ソーラーバンクがビットコインを選択した背景には、複数の戦略的要因がある。 同社は通貨切り下げやインフレに対するヘッジ手段としてビットコインを位置づけ、機関投資家向け融資へのアクセス向上と資産保有の多様化を目指している。
また、ソーラーバンクの再生可能エネルギープロジェクトは、仮想通貨マイニングによる排出量を相殺できる点も重要な要素となっている。 これにより、分散型で環境効率の良い金融システムという一貫したナラティブを構築できると説明した。
さらに、ブロックチェーン、AI分析、分散型金融(DeFi)に関心を持つ技術志向の投資家層への訴求力拡大も狙いの一つだ。
再生可能エネルギー事業との相乗効果を重視
ソーラーバンクのリチャード・ルー最高経営責任者は、同社の再生可能エネルギーソリューションとビットコイン普及の相乗効果を強調した。 同氏は「増大するエネルギー需要と財務の複雑性」に対応するための取り組みだと述べた。
ソーラーバンクは新戦略の導入にもかかわらず、1ギガワット超の再生可能エネルギープロジェクト推進とフォーチュン500企業との脱炭素化パートナーシップという中核事業への注力を継続すると表明している。
同社は長期契約による安定したキャッシュフローモデルを活用し、ビットコイン関連の潜在的利回りを補完する方針だ。
この取り組みにより、従来のエネルギー関連投資家を超えた層への訴求と、持続可能な低炭素エネルギーと革新的金融モデルへの需要拡大を狙っている。