大手ソフトウェア企業のマイクロソフトは20日、分散型データウェアハウス提供企業のSpace and Time Labs(SXT)と提携し、同社の分析基盤「Microsoft Fabric」にブロックチェーンデータを統合すると発表した。
この連携により、開発者はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、スイ(SUI)といった主要なネットワークから、リアルタイムかつ検証可能なデータをFabric上で直接利用できるようになる。
リアルタイムで検証可能なデータ提供へ
Microsoft Fabricは、Azure Synapse Analytics、Azure Data Factory、Power BIの各サービスを組み合わせたSaaS型の分析プラットフォームだ。
今回の統合では、Space and Timeの分散型データインフラにより、Fabric利用者はブロックチェーン上のオンチェーンイベントを暗号学的証明とともに取得し、分析モデルの構築やレポート作成に活用できる。
Space and Timeの「Proof of SQL」エンジンは、クエリ結果が改ざんされていないことを暗号技術で担保する。これにより、ブロックチェーンデータの取得や分析において、透明性や信頼性が確保される。
さらに、従来のデータベースと同じく、リアルタイムでのストリーミングが可能となり、最新のトランザクション(取引)データを即座に取得できる点も特長だ。
ブロックチェーンデータはAzure OneLakeに一元管理され、既存のデータ資産と統合して扱えるようになっている。
エンタープライズニーズとユースケースの拡大
近年、Web3アナリティクスへの需要は企業の間で高まっている。
分散型アプリケーションやデジタル資産管理においては、信頼できるデータ取得と透明性の高い監査が不可欠だ。
今回の連携は、こうしたニーズに対応するもので、データエンジニアやデータサイエンティストは、ブロックチェーンの専門知識がなくても、Fabric上で容易に分析業務を行える。
また、金融監査やサプライチェーンのトレーサビリティ(追跡機能)、分散型金融(DeFi)分析など、複数の業界での利用が想定されている。
Fabricは空間データや時系列データの分析機能も備え、さまざまな業務シーンでブロックチェーンデータを活用できる。
ガバナンス面では、Azure Purviewを用いた一元管理により、データの機密性や権限の管理も実現している。
マイクロソフトは、既存のAzure基盤と連携することで、企業にグローバルなインフラと拡張性を提供し、Web2とWeb3の橋渡しを進めている。
今後もブロックチェーンデータの利活用が進み、企業活動の透明性や信頼性向上につながることが期待される。