アルゼンチンの裁判所は16日、ハビエル・マイレイ大統領および姉のカリナ・マイレイ氏に対して、銀行秘匿特権の解除を命じたことが明らかになった。
この決定は、Libra(LIBRA)詐欺疑惑を巡る金融取引の調査の一環として下されたものだ。
LIBRAトークン詐欺疑惑と関係者の動向
本件は、ミームコインの一種であるLIBRAトークンを巡る詐欺の訴訟が発端となっテイル事件だ。このプロジェクトの中心人物とされる暗号資産(仮想通貨)プロモーター、ヘイデン・デイビス氏らが調査対象となっている。
また、マイレイ大統領と関係の深いマヌエル・テロネス・ゴドイ氏、マウリシオ・ノベリ氏、セルヒオ・モラレス氏(通称クリプト・ブロス)も調査対象に含まれる。
5月には、裁判所がこれら3人の資産凍結措置を講じ、金融ネットワーク全体の実態解明を進めた。
LIBRA詐欺の被害者側は、総額約450万ドルの損失を被ったと主張し、民事訴訟も提起している。 しかし、マイレイ氏とカリナ氏は16日に予定された調停に出席せず、法律代理人の派遣も行わなかった。
政治と規制のはざまで問われる透明性
今回の裁判所の決定は、LIBRAプロジェクトに絡む刑事捜査の一環である。 また、公的立場にある人物の金融取引の透明性が厳しく問われている。
アルゼンチンでは、マイレイ政権の規制緩和や官僚制度の簡素化など、自由主義的な政策がこれまで進められてきた。 一方、LIBRAトークン詐欺疑惑により、マイレイ大統領の60%という高い不支持率が顕著となった。
また、政権の説明責任への疑念が国内外で高まっている。 さらに、国有銀行バンコ・デ・ラ・ナシオン・アルヘンティーナの民営化計画が法的課題で一時停止となっている。
これにより、金融政策と政治的な波紋も広がっている。 今後、仮想通貨を巡る規制が強化される見通しだ。 また、政治家の金融取引の監視も厳格化される中、マイレイ大統領の対応が大きな注目を集めている。