LGが自社NFTプラットフォーム閉鎖|NFT市場の価値低下を受け

私たちを信頼する理由
私たちを信頼する理由
LGスマートTV上のNFTマーケットプレイス閉鎖を示す画面

韓国の電子機器大手LGエレクトロニクスは20日、自社のNFT(非代替性トークン)マーケットプレイス「LG Art Lab」を閉鎖すると発表した

LG Art Labは2022年9月、NFTブームの最盛期に立ち上げられたプラットフォームだ。このサービスでは、ユーザーがLGのスマートTVから直接デジタルアートの売買や展示が可能だった。

当初はヘデラブロックチェーン上で運営され、「ハッシュグラフ」と呼ばれるブロックチェーン代替技術を使用していたが、後にイーサリアム(ETH)にも拡張された。

NFT市場の低迷とプラットフォームの閉鎖スケジュール

この閉鎖決定の背景には、NFT市場全体の関心低下と価値の下落がある。2022年初頭のピーク時と比較して、NFT市場は市場の飽和、価値の下落、消費者の関心低下など、大きな課題に直面している。

取引量は2021年8月の32億4000万ドル(約4,827億6,000万円)のピークから、2025年には週あたり1億ドル(約149億円)未満にまで激減した。

この市場環境の変化を受け、QuiddやMakersPaceなど多くのNFTプラットフォームも同様の理由で閉鎖している。

LG Art Labでの新規取引は既に2025年3月10日に停止されており、プラットフォームは2025年6月17日に完全に閉鎖される予定だ。

ユーザーが所有するNFTは2025年4月30日までに個人の仮想通貨ウォレットに転送される。

業界全体の撤退傾向とサムスンとの対比

LGの撤退は、他の主要企業の動きと軌を一にしている。ナイキのRTFKT、ゲームストップのNFTプラットフォーム、クラーケンのNFTマーケットプレイスなど、多くの企業がNFT事業から撤退している。

一方で、LGがNFT市場から撤退する中、競合のサムスンが提供するNFT TVマーケットプレイスは現在も稼働を続けている。この対照的な状況は、企業ごとのデジタル資産戦略の違いを浮き彫りにしている。

NFT市場の現状と今後の見通し

NFT市場価値の下落と消費者離れは、より広範な市場トレンドを反映している。市場全体が低迷する中でも、ゲームや仮想不動産などの分野ではNFTの応用を模索し続けている企業もある。

LGの決定は、NFT市場の一時的なブームが落ち着き、企業が新たなビジネス機会を模索する中での戦略的な転換を示している。

仮想通貨とブロックチェーン技術が進化し続ける中、企業は消費者の実際のニーズに合わせてサービスを再構築していくことが求められている。

松田 明日香

暗号資産投資を2020年に始め、ビットコインやNFT、DeFiなど複数の分野で投資経験を有する。2025年1月にICOBenchに参加し、専門的な暗号資産ライティングを手掛けている。