暗号資産(仮想通貨)取引所大手のクラーケン(Kraken)は24日、2026年第1四半期の潜在的な新規株式公開(IPO)を視野に入れ、最大10億ドル(約1500億円)の債務調達を検討していることが明らかになった。
同社はこの取り組みにあたり、金融大手のゴールドマン・サックスとJPモルガンと協力している。現在の協議は初期段階であり、追加の銀行や直接貸付業者も関与している。
今回の資金調達は運営コストをカバーするためではなく、クラーケンの成長戦略を支援することを目的としている。また、債務発行と並行して株式調達も検討されているという。
積極的な事業拡大と強固な財務基盤
クラーケンは最近、個人投資家向け先物取引プラットフォームのNinjaTraderを15億ドル(約2250億円)で買収し、戦略的な拡大努力を強調している。
この買収は、同社のデリバティブ(派生商品)提供を拡大する重要なステップであり、伝統的な金融セクターへの統合というより広範な戦略に沿ったものだ。
同社は現在、190カ国以上で1000万人以上のユーザーにサービスを提供しており、四半期ごとの取引量は2070億ドル(約31兆円)を超えている。また、顧客資産は約430億ドル(約6.45兆円)を保有しており、この財務的な強さが成長を加速させるための追加資金調達の追求を支えている。
好転する規制環境がIPOを後押し
クラーケンの潜在的なIPOは、より好ましい米国の規制環境に影響されている可能性が高い。米証券取引委員会(SEC)がクラーケンに対する訴訟を取り下げるなどの最近の展開が、この好ましい環境に寄与している。
また、同社の2024年には収益が128%増加して15億ドル(約2250億円)に達するなど、近年の堅調な財務実績が将来の拡大と株式公開に向けた態勢を支えている。
仮想通貨業界の主流化への重要な一歩
クラーケンの潜在的なIPOは、2021年4月に上場したコインベースのような他の仮想通貨取引所に続くものとなる。この上場は、仮想通貨セクターの主流金融市場への統合における重要な節目となるだろう。
仮想通貨市場の現在の状態と投資家心理は、クラーケンの意思決定において重要な役割を果たしている。同社の成長と潜在的な株式公開は、進化するビットコイン(BTC)とは異なるアプローチで、暗号通貨エコシステム全体を支える戦略的な動きである。
今回の資金調達の動きは、新しい仮想通貨業界の成熟と従来の金融システムへの統合が進む中で、大手取引所がどのように自社のポジションを強化しようとしているかを示す重要な例となっている。