カザフスタンのカシム・ジョマルト・トカエフ大統領は29日、アラタウ地区に暗号資産(仮想通貨)決済を合法化する実証特区「クリプトシティ」の設立を発表した。
クリプトシティでは、商品やサービス、不動産投資において仮想通貨が決済手段として利用可能となる。
今回の発表は、カザフスタンがデジタル経済近代化とブロックチェーンの活用を推進する戦略の一環である。 同国は中央アジア地域における仮想通貨のリーダーシップ確立を目指し、効率的な法整備と技術革新に取り組む方針だ。
アラタウ地区の選定理由と既存インフラ
アラタウ地区が実証特区の候補地として選定された背景には、充実した技術研究インフラの存在がある。イノベーション・テクノロジー・パークや原子力研究など先端分野の機関が集積し、ブロックチェーン技術と先端技術革新の相乗効果が期待される。
当局は仮想通貨の法整備を積極的に進め、国内金融法に準拠しながら規制の不確実性解消に努める方針だ。
規制サンドボックスと実用化への取り組み
クリプトシティは規制サンドボックスとして機能し、企業が規制当局の監視下で仮想通貨アプリケーションを試験できる環境を提供。 小売店での購入、レストランでの支払い、不動産投資など日常取引での利用促進を図る取り組みだ。
さらにBitget WalletやCoinpalなどの連携プラットフォームと協力し、オンライン小売業者向け決済の簡素化が期待される。
カザフスタンは来年、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入で税務手続の合理化を図り、クリプトシティはそのデジタル戦略の次段階として位置付けられている。
長期的展望として、クリプトシティは決済手段に留まらず、技術分野での雇用創出や地域金融統合の推進に寄与する狙いを持つ。
この実証特区では、ブロックチェーン技術に基づく多様なサービス開発が展開されるほか、イーサリアム(ETH)を活用した不動産取引用スマートコントラクトなど、革新的な事例が検討されている。