韓国のモバイル決済大手カカオペイの株価は23日、ステーブルコイン関連事業への期待感から、過去1カ月で200%以上急騰したことが明らかになった。同社は、韓国最大級のインターネット企業カカオの子会社にあたる。
ステーブルコイン発行に向けた布石か
韓国を代表するデジタル決済プラットフォームであるカカオペイは、韓国ウォン(KRW)に連動する可能性のあるステーブルコインに関連して、18件の商標を出願した。KRWKPやKRWPなどの名称が含まれ、金融サービスのカテゴリーで申請されている。
この動きは、デジタル資産市場への参入準備と見られており、韓国の暗号資産(仮想通貨)業界全体にも影響を及ぼす可能性がある。カカオペイの株価は、5月23日の3万800ウォンから6月23日には9万4700ウォンへと、1カ月で200%超の急騰を記録した。
同社はこれらの出願を、予防的な措置と説明している。しかし、業界アナリストは、今後予想されるステーブルコイン規制に備えた戦略的対応だと分析している。
規制緩和の追い風と市場の期待
こうした動きの背景には、イ・ジェミョン大統領や国会議員が、民間発行のKRW連動型ステーブルコインに前向きな姿勢を示していることがある。また、承認手続きの迅速化を目指す、デジタル資産基本法案の提出など、法整備の動きも加速している。
市場の信頼感を支える背景には、カカオペイが保有する4億2900万ドル(約634億9200万円)規模の前払い残高がある。この資金が、将来的にステーブルコインの担保として活用される可能性が意識されている。
こうした資産基盤と事業の展望を踏まえ、同社は金融サービスとブロックチェーン技術の統合を見据えた商標出願を行っている。カカオペイは、その市場支配力と膨大なユーザー基盤を背景に、この分野の先駆的存在として注目されている。
一方で、同社はステーブルコインに関する具体的な計画には言及しておらず、規制の明確化を前提とした慎重な姿勢を保っている。
市場関係者は、今後の展開をビットコインのような主要通貨の動向と合わせて注視している。