金融大手のJPモルガンは19日、顧客がビットコイン(BTC)を投資口座で購入できる新たなサービスを導入する方針を明らかにした。
米国最大手銀行によるこの決定は、暗号資産(仮想通貨)への従来の慎重な姿勢からの転換点となる。
JPMorgan CEO Jamie Dimon says the bank will let clients buy bitcoin https://t.co/Uv5BwID3Hd
— CNBC (@CNBC) May 19, 2025
顧客ニーズと規制環境が方針転換を後押し
JPモルガンは、年次投資家向け説明会で今回の新サービスを発表した。同行はビットコインの直接保管は行わないが、顧客の保有資産として口座明細に計上する。
従来は仮想通貨への関与に慎重だったが、市場の動きや顧客からの強い要望が背景となった。
近年、機関投資家の間でビットコインへの関心が高まっている。ビットコインの価格が安定しつつあることや、仮想通貨の上場投資信託(ETF)が徐々に普及していることが要因とされる。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)による規制の明確化や、他の大手銀行、特にモルガン・スタンレーが2023年8月からビットコインETFへの投資機会を提供している事情も、JPモルガンの方針転換に影響した。
このサービスは、伝統的金融(TradFi)と仮想通貨市場を橋渡しするものと位置づけられる。ただし、同行は規制上の理由から顧客のビットコインを直接預かることはしない。
トップは慎重姿勢維持、仮想通貨への見解に温度差
JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、今回の決定について「私はタバコを吸うべきでないと思うが、吸う権利を守る。ビットコインを買う権利も同様に尊重する」と語った。
一方で、ダイモン氏自身はビットコインに否定的な立場を崩していない。
過去には「ビットコインは無価値」「ペットロック(ただの石)」「ポンジスキーム(詐欺的手法)」といった厳しい表現で批判してきた経緯がある。
また、マネーロンダリングや分散性による規制リスクについての懸念も引き続き表明している。
同行の新たな取り組みは、顧客の多様なニーズと、経営トップの慎重な見解との間に明確なギャップが存在することを浮き彫りにしている。
今回の発表は、仮想通貨投資が伝統的金融へ浸透しつつある現状を象徴している。
今後も金融機関の対応や規制環境の動向が、仮想通貨市場や新しい仮想通貨に大きな影響を及ぼす可能性がある。