香港の規制緩和が追い風に|JD.com、ステーブルコイン決済革命

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JD.comのロゴとステーブルコインのシンボルが描かれた未来的な金融ネットワークのイラスト

中国のeコマース大手JD.comは17日、国際決済の効率化を目指し、世界各国でステーブルコインのライセンスを申請する計画を表明した

この計画は、グローバルなサプライチェーンを持つ企業や、世界中の消費者に大きな影響を与える可能性がある。

国際決済コスト9割削減へ、JD.comの新戦略

JD.comの劉強東会長が明らかにした計画によると、同社は国際決済にかかるコストを90%削減し、決済時間を10秒未満に短縮することを目標に掲げている。

現在の国際送金は、通常2日から4日の時間を要し、高い取引手数料が長年の課題であった。

JD.comは、米ドルや香港ドルに価値が連動する暗号資産(仮想通貨)の一種であるステーブルコインを発行することで、これらの問題を解決する狙いだ。

将来的には、規制当局の承認を前提に、オフショア人民元に連動するステーブルコインの発行も視野に入れている。この取り組みは、特に高額で時間のかかる決済に悩む中小企業にとって、大きな変革をもたらすだろう。

規制緩和を追い風に、段階的なサービス拡大

この野心的な計画の背景には、香港などで進む規制環境の変化がある。香港が導入した新たなステーブルコイン法は、JD.comのような企業にとって事業展開の好機となっている。

同社の子会社であるJingdong Coinlink Technologyは、すでに香港の規制サンドボックス内で米ドルや香港ドルに連動するステーブルコインのテストを開始している。

JD.comは、まず企業間(B2B)決済にこの技術を導入し、取引の迅速化とコスト削減を実現する。

その後、サービスが軌道に乗れば、一般消費者向け(C2C)の決済にも拡大し、世界中のどこからでも自社のECプラットフォームでシームレスに買い物ができる環境を整える計画だ。

劉強東会長は、JD.comのステーブルコインが国境や通貨の壁を越える普遍的な決済手段になるという、壮大なビジョンを語っている。

この分野では、すでに国際送金の高速化を目指すリップル(XRP)のようなプロジェクトが存在するが、JD.comは巨大なeコマースプラットフォームを背景に、独自の地位を築こうとしている。

同様の決済分野で競合するステラルーメン(XLM)などの動向も、今後の業界地図を占う上で注目される。

著者: 名本 太陽

仮想通貨専門のWebライター。2017年からブロックチェーン業界に携わり、国内外の仮想通貨取引所やDeFiプロジェクトのホワイトペーパー、解説記事、プレスリリースを多数執筆。金融メディアでの連載経験もあり。専門はDeFi、NFT、メタバースで、最新トレンドに基づいた正確かつ分かりやすいコンテンツ制作を得意とする。