金融庁は25日、金融審議会の総会を開き、暗号資産(仮想通貨)を金融商品取引法の対象とするための本格的な検討を開始した。
この動きの一環として、専門家による議論を行う専門部会の仮想通貨制度に関するワーキング・グループの設置も承認された。
今回の改革は、仮想通貨を現行の決済サービス法から金融商品取引法の枠組みへ移行させることを目的としている。
これにより、仮想通貨は金融商品として位置づけられ、株式や債券などと同様の厳格な規制が適用されることになる。
具体的には、投資家保護の強化、資産の分別管理義務、インサイダー取引や相場操縦行為の禁止といった規定が導入される見通しだ。
金融庁は、この措置が市場の健全性を高める上で不可欠だと判断している。
6月25日(水)10:00~12:00に開催予定の第55回金融審議会総会・第43回金融分科会合同部会について、議事次第及び配布資料を掲載しました。#金融庁
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規制改革の背景と目的
今回の規制改革の背景には、日本国内における仮想通貨市場の急速な拡大がある。
国内のアクティブな仮想通貨口座数は1200万を超え、2025年1月時点での保有資産総額は5兆円を上回った。
しかし、現行の決済サービス法では、価格変動の激しさや資産管理のリスクに十分対応できていないとの指摘があった。
金融庁は、規制の隙間を埋め、投資家が安心して取引できる環境を整備する必要があると認識している。
この動きは、政府が掲げる新しい資本主義構想の一環でもある。
規制を整備することで、海外への資本流出を防ぎ、東京を国際的なデジタル資産のハブとして育成する狙いだ。
税制改正とビットコインETFへの道
規制改革と並行して、税制の見直しも重要な議題となっている。
現在、仮想通貨の利益は最大55%の累進課税の対象だが、これを株式などと同じ一律20%の申告分離課税に変更する案が浮上している。
この税制改正は、国内の利用者の負担を軽減し、海外市場への資本流出を食い止めることを目的としている。
公平な税制を実現することで、市場の活性化が期待される。
特に仮想通貨税金の仕組みは、多くの投資家が注目するポイントとなっている。
さらに、金融商品取引法への移行が実現すれば、現物のビットコイン(BTC)などを裏付けとするETFの国内での組成・販売が解禁されるとの報告がある。
金融庁の承認や取引所の準備が整えば、早ければ2026年にも実現するとの見方が出ている。
金融庁は今後、東京証券取引所などと連携し、2026年の制度確定を目指して詳細なガイドラインの策定を進める方針だ。