インターネットコンピュータ(ICP)を支援するDFINITY財団は19日、ICPがソラナ(SOL)ブロックチェーンへの直接接続を開始したことを明かした。
この機能により、ICP上のスマートコントラクトであるキャニスターは、ブリッジや第三者ツールを介さずにソラナネットワークとデータを送受信可能となった。
これはビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)に続くものであり、ICPのスマートコントラクトは複数のネットワークを横断して運用可能となる。
ソラナとの直接接続を実現した新技術
この連携の中核を担うのはThreshold EdDSAと呼ばれる新ツールである。
このツールにより、キャニスターはソラナが通常要求する署名形式を用いて、有効なソラナトランザクションを直接生成することができる。
さらに、SOL RPC canisterというサービスが、HTTPSアウトコール機能を利用してソラナのブロックチェーンデータを取得する。
この2つの組み合わせが、ブリッジ不要のシームレスな連携を可能にした。
DFINITYはスイスを拠点とする非営利団体で、a16zやPolychain Capitalといった著名なベンチャーキャピタルから8000万ドルを調達した実績を持つ。
同団体は、「SOL RPC canisterのリリースは、ICPのスマートコントラクトがソラナと対話できるようにするためのロードマップ『Helium』のマイルストーン完了を意味する」とブログ投稿で述べている。
低迷するオンチェーン活動の起爆剤となるか
この技術的な進展にもかかわらず、市場の反応は限定的だ。
暗号資産(仮想通貨)データアグリゲーターのCoinGeckoによると、このニュースを受けてもICPの価格は2%以上下落した。
ICPのオンチェーン活動も依然として低調なままである。
Defiデータ集約のDefiLlamaのデータでは、ネットワークにロックされた総価値(TVL)は2024年初頭から減少し続けており、1月の5500万ドルから6月には2700万ドルへと半減した。
また、ICP上のDEXにおける6月の総取引量は2000万ドルを下回り、2024年6月以来の最低水準に向かっている。
これはネットワーク収益が3四半期連続で過去最高を記録した後の落ち込みとなる。
現在のユーザー動向を見ると、取引よりも実世界資産関連のアプリケーションやリキッドステーキングへの関心が高いようだ。
現在、ORYGONとWaterNeuronの2つのプロトコルは、ネットワーク全体の中で他のあらゆるアプリケーションを大きく上回るTVLを保持しており、その規模は他の主要アプリの合計と比較して約4倍に達している。
今回のソラナとの連携は、この停滞していたエコシステムに対して、実質的な成長の起点となる。