金融サービス大手インタラクティブ・ブローカーズは28日、ステーブルコインの導入を検討していることが明らかになった。
ステーブルコイン導入の背景と目的
インタラクティブ・ブローカーズは、時価総額が約1100億ドル(約16兆2800億円)のグローバル金融企業だ。
同社は顧客の利便性向上を目的に、24時間365日対応の口座入金や、暗号資産(仮想通貨)の即時送金を可能にする手段として、ステーブルコインの活用を検討している。
ただし、計画はまだ初期段階にある。自社で独自のステーブルコインを発行するのか、あるいはテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)など既存の、第三者発行のステーブルコインをサポートするのかは未定だ。
インタラクティブ・ブローカーズの創設者トーマス・ピタフィー氏は、仮想通貨の本質的な価値には懐疑的な立場を取る一方で、その有用性については市場の採用状況や実用的なユースケースによって左右されるとの見方を示している。
同氏は慎重に検討を進めており、同社の動向は仮想通貨投資における機関投資家の姿勢を示す動きとして注目されている。
規制緩和と市場動向が後押し
今回の動きの背景には、デジタル資産サービスに対する規制環境の変化がある。規制が柔軟になったことで、伝統的な金融機関も仮想通貨関連サービスを展開しやすくなった。
また、ステーブルコインの需要が、投機目的だけでなく、企業間決済やサプライチェーンファイナンス、リアルタイム決済といった実用的な分野で高まっていることも導入検討を後押ししている。
これは、ブロックチェーン基盤のツールが主流の金融システムへと統合されつつある流れを示すものだ。
インタラクティブ・ブローカーズは2021年からPaxos社と提携し、仮想通貨取引サービスを提供しているほか、Zero Hash社への戦略的な出資を通じて仮想通貨インフラの強化も図っている。
これらの既存の提携関係は、今後のステーブルコイン戦略における前提条件として位置づけられる。