香港、法定通貨担保型ステーブルコインの規制を年内に施行予定

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香港の未来的な都市風景とデジタルコインが重なるイメージ

香港立法会は21日、法定通貨担保型ステーブルコインの規制法案(ステーブルコイン法案)を可決した

同法案により、暗号資産(仮想通貨)の一種であるステーブルコインの発行や流通に関する包括的な監督枠組みが正式に導入される。

本法案の可決は、香港金融管理局(HKMA)が今後、ステーブルコイン発行体に対してライセンスを付与する新たな制度の構築を意味する。

関係者によると、2024年末までに発行体はライセンス申請が可能となり、法案自体は2025年に全面施行される見通しだ。

ステーブルコイン発行に厳格な資産管理と安定化義務

今回の法案で定められた主なポイントとして、まず発行体は法定通貨を裏付け資産とし、厳格な資産管理や安定化メカニズムの導入が求められる。

顧客資産の分別管理や、安定した価値維持のための仕組みが義務付けられ、利用者の信頼性向上に資する。

また、香港域内だけでなく、香港ドルを参照通貨とする場合は海外での活動にも規制が適用される。

発行体は「合理的な条件下」で額面通りの償還に応じる義務も設けられ、ステーブルコインの実用性と信頼強化が図られている。

香港金融管理局のエディ・ユエ総裁は「堅牢な規制環境が、デジタル資産の健全かつ持続可能な発展を後押しする」と述べ、安定性と信頼性の確保に注力する考えを示した。

国際基準と地域競争力、イノベーションのバランス

今回の法案は「同じ活動には同じリスク・同じ規制を」という国際的な原則を踏まえたものだ。

金融イノベーションを推進しながらも、グローバル市場での信頼確立とリスク管理を両立する狙いがある。

香港はシンガポールや欧州連合(EU)などと並び、ステーブルコイン発行の地域拠点を目指している。

テザー(USDT)をはじめとするステーブルコインの活用分野としては、実店舗での決済や国際貿易、個人間送金など多様な用途が想定されている。

議会関係者や業界団体は、インフラ整備やグローバル企業の香港誘致に向けた連携を呼びかけている。

今後、法令に基づく発行体のライセンス審査が進むことで、香港はアジアでの仮想通貨規制における先駆的な立場を固める見込みだ。

なお、仮想通貨投資には元本割れ等のリスクが伴うため、全ての判断は自己責任で行う必要がある。

著者: 松田 明日香

暗号資産投資を2020年に始め、ビットコインやNFT、DeFiなど複数の分野で投資経験を有する。2025年1月にICOBenchに参加し、専門的な暗号資産ライティングを手掛けている。