Google、EUでの仮想通貨広告ポリシー更新|MiCA規制に対応

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欧州連合(EU)の旗とデジタルネットワークが融合し、ヨーロッパ全体の仮想通貨規制を象徴するイメージ

Googleは14日、欧州連合(EU)域内における暗号資産(仮想通貨)関連の広告ポリシーを更新すると発表した。この新ポリシーは4月23日から施行される。

今回の更新は、EUで導入された仮想通貨市場規制(MiCA)に対応するものだ。

MiCAは、仮想通貨市場の透明性確保、情報開示、適切な監督体制の構築を目的とした包括的な規制枠組みであり、2024年12月に施行された。

MiCA規制とGoogleの新方針

新しいポリシーの下では、EU加盟国全域で仮想通貨取引所やウォレットの広告を掲載しようとする事業者は、MiCAに基づくライセンスを取得するか、仮想通貨サービスプロバイダー(CASP)として登録する必要がある。

これに加えて、Googleによる認証プロセスを完了し、各加盟国の法規制を遵守することも求められる。

この方針は、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、オランダなど、EUの主要国を含む広範な地域に適用される。

新ポリシーが市場に与える影響

MiCA規制の施行とGoogleの新ポリシーは、規制されていない事業者や詐欺的な新規仮想通貨公開(ICO仮想通貨)などを排除し、投資家保護を強化することが期待されている。

これにより、市場全体の健全性が高まる可能性がある。

Googleにとっては、EUの規制を遵守することで、仮想通貨関連サービスに伴う潜在的な法的責任から自身を守ることにもつながる。

一方で、この動きは仮想通貨業界に複雑な影響を与える可能性もある。

規制強化は市場の安全性と信頼性を向上させるが、特に中小の仮想通貨事業者にとっては、コンプライアンス対応の負担増やコスト増につながる懸念がある。

MiCAライセンスの資本要件は15,000ユーロ(約255万円)から150,000ユーロ(約2,550万円)とされている。

さらに各国当局とGoogle双方からの認証が必要となるため、新規参入企業にとっては障壁となり得る。

施行の詳細と業界の動向

Googleは、ポリシー違反があった場合でも、直ちにアカウントを停止するのではなく、少なくとも7日間の警告期間を設けるとしている。

この期間内に事業者は問題を是正する機会を与えられる。

また、一部の国では移行期間が設けられている。

例えば、フィンランドでは2025年6月30日まで、フランスでは2026年6月30日まで、ドイツでは2025年12月30日まで、既存の国内ライセンスに基づき広告を継続することが可能だ。

業界の反応としては、Crypto.comやBitpandaといった主要な取引所はすでにMiCAライセンスを取得しており、ヨーロッパ全域での新しい広告基準に対応する準備を進めている。

業界リーダーの間では、このポリシー変更が市場にとって有益であると同時に、運用次第では制約となる可能性もあるとの見方が出ている。

著者: 松田 明日香

暗号資産投資を2020年に始め、ビットコインやNFT、DeFiなど複数の分野で投資経験を有する。2025年1月にICOBenchに参加し、専門的な暗号資産ライティングを手掛けている。