FTX破産劇は新局面へ、3ACの15億ドル請求に異議申し立て

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法廷を背景に対立するFTXとスリー・アローズ・キャピタルのロゴ

破産した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの管財人団は22日、破綻したヘッジファンド、スリー・アローズ・キャピタル(3AC)による15億3000万ドル(約2233億8000万円)の請求に対し、全面的に異議を申し立てた

FTX側は裁判所に対し、3ACの請求を棄却するよう求めている。

請求額増額の経緯とFTXの反論

この紛争は、2023年7月に3ACがFTXに対して1億2000万ドルの請求を起こしたことに始まる。その後、2025年3月にデラウェア州破産裁判所が、請求額を15億3000万ドルに修正することを認めた。

3ACは自社が破綻する直前、FTXが同額の資産を不当に清算したと主張している。裁判所は、FTXの財務記録の不備と透明性の欠如を理由にこの主張を受け入れた。

一方、FTX側は今回、3ACの口座価値は破綻時に2億8400万ドルだったと反論。加えて、同口座には7億3300万ドル超の証拠金負債があったと指摘している。

提出資料によると、3ACの資金のうち2億2200万ドルは仮想通貨価格の下落で失われ、6000万ドルは3AC自身が引き出していたとされる。

食い違う両者の主張と今後の行方

3ACはFTXによる資産清算が自社の破綻を加速させたと一貫して主張してきた。裁判所の判断は、FTXがその正当性を証明できなかったことを背景としている。

一方、FTXは6月に94ページの異議申し立て書を提出し、3ACが負債を過小報告し、損失の責任をFTXに転嫁しようとしていると強く非難した。争点は、損失がFTXの行為によるものか、3AC自身の取引失敗によるものかにある。

この対立は、FTXの債権者と過去の取引相手との間で続く緊張を象徴するものであり、サム・バンクマン・フリード氏が築いた帝国の清算はさらに複雑さを増している。

今回の訴訟は仮想通貨市場に内在するシステミックリスクの一例といえる。このような大手取引所の破綻は、多くの投資家にとって仮想通貨市場全体への信頼を揺るがす出来事となった。特に、FTXのような仮想通貨海外取引所を利用する際は、リスク管理が重要だ。

仮想通貨長期保有の戦略を取る投資家にとっても、取引所の信頼性を見極める姿勢が求められる。

著者: 白石 一颯

仮想通貨・ブロックチェーン分野を中心に、最新ニュースや規制動向、プロジェクト分析などを取材・執筆。国内外の信頼性ある情報源をもとに、読者に正確で有益なコンテンツを届けています。専門性と透明性を重視し、投機に偏らない情報提供を心がけています。