国際的な金融システムを監督するFSBは12日、暗号資産(仮想通貨)が世界の金融システムに重大な影響を及ぼすリスクがあると警告した。
ステーブルコインがもたらす新たなリスク
Risk emanating from cryptoassets could soon become a serious threat to financial markets, outgoing FSB Chair Klaas Knot says https://t.co/VqKOyLJ7bg
— Bloomberg (@business) June 12, 2025
FSBは、仮想通貨と伝統的な金融システムの統合が進んでいる現状に警鐘を鳴らしている。
これまでニッチな市場と見なされてきた仮想通貨が、ETFなどを通じて金融の主流に急速に浸透しているためだ。
特に、米ドルなどの法定通貨に価値が連動するステーブルコインの存在が、リスクの主な要因として挙げられた。
ステーブルコインの発行体は、その価値を担保するために大量の米国債を準備金として保有している。
この構造が、金融市場のストレス時に脆弱性を増幅させる可能性があるとFSBは指摘する。
市場の流動性や資産価値に問題が生じた場合、ステーブルコインの安定性が揺らぎ、その影響は金融システム全体に波及しかねない。
FSBのクラース・ノット議長はこれまでの理事会の見解を転換し、ステーブルコイン発行体の国債投資を特に注視すべき分野として強調した。
規制強化と国際協調の必要性
このような状況を受け、各国で規制整備の動きが加速している。
米国上院では、ドルに連動するステーブルコインの発行体に対し、100%の準備金を義務付ける法案の審議が最終段階を迎えている。
この法案は規制当局による監視強化も盛り込んでおり、市場の透明性と安全性を高めることを目的とする。
この法案には、デジタル決済における米ドルの役割を確固たるものにしたいトランプ政権や、明確なルールを求める業界関係者からの支持が集まっている。
仮想通貨の主流利用を促進するとの期待がある一方で、FSBはシステミックな混乱を防ぐためには厳格な監視が不可欠だと主張する。
ビットコインだけでなく、主要なアルトコインも監視の対象となるべきだとの意見もある。
FSBの報告書は、資本市場や決済システムにおける仮想通貨の影響力増大に対応するため、世界各国の規制当局が連携を強化することの緊急性を強調している。
国境を越える仮想通貨のリスク管理には、国際的な協調体制の構築が不可欠であると結論付けている。
特に、海外仮想通貨取引所における規制遵守の徹底が、今後の重要な課題となる。