フィンテック大手FISは29日、米ドル連動型ステーブルコイン発行元のサークル社と提携し、USDコイン(USDC)決済機能を自社の決済プラットフォームに統合することを明らかにした。
この提携は、FISが伝統的な金融システムでステーブルコインの採用を推進するために、サークルと協力する初の取り組みとなる。
— FIS (@FISGlobal) July 29, 2025
提携を後押しする規制と市場の需要
FISは、フォーチュン500に選出され、IDCグローバルフィンテックベンダーランキングで2位に位置する業界の主要企業だ。
同社のマネー・ムーブメント・ハブは、金融機関を複数の決済ネットワークに接続するもので、今回の統合によりUSDCを用いたリアルタイムの国内外送金が可能になる。
この提携の背景には、米国議会で可決されたGENIUS法の存在が大きい。
この法律はテザー(USDT)などのステーブルコインを合法化し、規制対象の事業体による発行を認めたことで、コンプライアンス上の懸念を払拭し、技術革新を促した。
FISのジム・ジョンソン共同社長は、金融機関に準拠した形でUSDCへのアクセスを提供し、運用の複雑さとコストを削減することが目標だと述べた。
また、従来の国際送金が抱える手数料の高さや処理の遅延といった課題も、新たな決済ソリューションへの需要を高めている。
米ドルと1対1で価値が連動するUSDCは、価格変動リスクを抑えつつ、ブロックチェーン技術による高速かつ低コストな送金を実現する。
伝統金融とブロックチェーンの架け橋
今回の提携は、FISが持つ世界的な銀行インフラと、サークル社のブロックチェーン技術を結びつけるものだ。
これにより、金融機関は既存のシステムを大幅に変更することなく、暗号資産(仮想通貨)を導入できる。
サークル社のカッシュ・ラッザーギ最高事業責任者は、ステーブルコインが金融システムの近代化に果たす役割を強調した。
この統合ソリューションには、FISの高度な不正検知機能が組み込まれており、取引の安全性が確保される。
また、技術的・規制的な障壁を低減し、金融機関がUSDCを導入するための拡張性の高い道筋を提供する。
新機能は2025年末までに提供開始となる予定だ。
この動きは、ステーブルコインの普及における重要な転換点と見なされている。
このような大手企業の参入は、今後の仮想通貨投資市場全体にポジティブな影響を与える。