フィデリティの保管部門ナショナル・フィナンシャル・サービシズ(NFS)は15日、東京証券取引所に上場する株式会社メタプラネットの株式を大量に取得し、筆頭株主となったことが明らかになった。
NFSは新たに8440万株を取得し、保有比率は12.9%に達した。取得額は約8億2000万ドルに相当する。これにより、NFSはこれまで大株主だったキャピタル・グループの保有比率6.6%を上回り、最大の株主となった。
メタプラネットはビットコイン投資の代理先
メタプラネットは、ビットコイン(BTC)を中核とする投資ビークルとして事業を展開している。
同社は積極的な資金調達と新株発行を進め、2025年3月時点で1万6352BTCを保有するに至った。
また、BTCの総供給量の1%を保有することを目指しており、すでに確保したBTCは戦略的資本として活用する構えだ。米国でのデジタルバンク買収などに50億ドルを投資する計画も進めている。
このような戦略は、暗号資産(仮想通貨)を直接購入せずに株式市場を通じてBTCへのエクスポージャーを求める機関投資家にとって、魅力的な手段といえる。
メタプラネットは、米マイクロストラテジー社と同様に、株式市場におけるBTCの代理投資先としての役割を担っている。
機関投資家の関心と市場反応
今回のNFSによる大量取得は、BTC関連資産への関心が高まる中で、伝統的な株式市場を通じてそれにアクセスしようとする機関投資家の動向を示している。
日本の規制環境と東京証券取引所への上場という点が、フィデリティのようなグローバル企業にとっての参入機会となっている。
メタプラネットのサイモン・ゲロヴィッチCEOは、グローバル市場へのアクセスが広がったことで株主層が多様化したと述べた。
一方、こうした報道があったにもかかわらず、アジア市場におけるメタプラネットの株価は前日比7%安で取引を終えた。利益確定売りの影響とみられる。
同社はBTCの蓄積に加え、米国のデジタルバンキングやプライベート市場への買収を通じた進出も計画している。
このように、株式として購入可能なメタプラネットは、ビットコイン関連株への間接的な投資手段として位置づけられている。