イーサリアム大量保有者、1万ETHを売却し4億円の利益確定

イーサリアム（ETH）の大量保有者は8日、約900日間保有していた1万ETH（約23億円相当）を売却し、約4億円の利益を確定させた。

この大量保有者は2022年10月と11月に2回の取引を通じて合計約1300万ドル（約19億円）を投じ、平均約1295ドル（約18万9000円）でイーサリアムを購入していた。

今回ETHの価格が約1578ドル（約23万円）に達した時点で全量を売却し、約275万ドル（約4億円）の利益を手にした。

しかし、もしこの大量保有者がETHの価格が4000ドル（約58万4000円）を超えた最高値で売却していれば、約2760万ドル（約40億円）もの利益を得られた可能性もある。

同時期に、別の大量保有者も2022年以来動きのなかった1万702ETHを売却したことが確認されている。

経済不安が仮想通貨市場に影響

この大量売却の背景には、厳しい暗号資産（仮想通貨）市場環境がある。イーサリアムは過去1週間で24%もの価値下落を経験している。

この下落傾向は、トランプ政権による包括的な関税措置がもたらした世界的な貿易緊張など、より広範な経済問題に起因しているとされる。

経済的不確実性の高まりは、仮想通貨市場全体に悲観的なムードをもたらし、多くの大量保有者がイーサリアムを売却することによって潜在的な損失に直面する状況を生み出している。

相次ぐ大量保有者の動き

米大統領トランプ氏関連の仮想通貨プロジェクトWorld Liberty Financial（WLF）と関連があるとみられる仮想通貨ウォレットも、5471ETHの損失を出して売却した。

これに先立ち、WLFは平均3259ドル（約47万6000円）で6万7498ETHを取得していたとされる。

別の動きとして、匿名の大量保有者が3億ドル（約438億円）規模の分散型金融（DeFi）ポジションの清算を防ぐために1万ETHを注入する事例も確認された。

一方で、ある大量保有者はDeFiの融資サービスでの清算により6万7570ETHという大きな損失を被っている。

イーサリアムの「Pectra」アップグレードに期待

厳しい仮想通貨市場環境にもかかわらず、イーサリアムは5月7日に予定されている「Pectra」アップグレードを控えている。

このアップグレードはネットワークの速度、セキュリティ、そしてユーザー体験の向上を目指しており、開発者たちは投資家の信頼回復に貢献することを期待している。

イーサリアムの価格変動と現在の弱気トレンドは、引き続き大量保有者の判断に影響を与え、仮想通貨市場の慎重なスタンスを示す可能性がある。

大量保有者の動向は、仮想通貨市場の今後の方向性を占う重要な指標となりうるため、仮想通貨市場参加者の注目を集めている。