イーサリアム(ETH)の開発チームは16日、実行レイヤー会議で次期ネットワークアップグレード「Pectra」について、2月にテストネットでのハードフォークを実施し、成功すれば3月にメインネットで実装する方針を示した。
開発チーム、テストネットで課題解決に着手
会議では、直前に立ち上げられたテスト環境「Devnet 5」における進捗が報告された。初期段階でガス推定に関する問題が確認されており、開発チームが分析を進めている。
テストネット「Sepolia」および「Holesky」でのハードフォークと、新しいクライアントのリリースが2月に予定されている。具体的なフォークブロックの設定は、2週間後の次回会議で決定される見通しだ。
開発チームは2024年9月、当初の計画が野心的すぎると判断し、Pectraアップグレードを2つのパッケージに分割することを決定。3月の実装は第1パッケージとなり、第2パッケージ(Fusakaアップグレード)は年内の後半に実施される予定。
ガスコスト計算の仕様を刷新
会議では、Pectraフォークで実装予定のガスコスト計算の新仕様について不一致が発覚。議論の結果、親ブロックのパラメータを使用する方針で合意に至り、仕様書(EIP 7691)の更新が進められることになった。
また、Blobフラクションの設定をExecution Layerに移行することも決定され、仕様の一貫性確保に向けた調整が進んでいる。
スマートコントラクトの機能拡充も
新たな仕様として「Delegation Introspection」の導入も検討されている。これはスマートコントラクトの柔軟性を高めることを目的としており、その影響範囲や実現可能性の評価が進められている。
フルノードとバリデーターのハードウェア要件についても議論が行われ、標準化された基準をInformational EIPとして文書化する提案が出された。
開発チームは17日にEIP編集ワークショップを開催。コミュニティメンバーとの議論を通じて、エコシステムの発展に向けた取り組みを加速させる方針だ。
イーサリアムの開発コミュニティは、Pectraフォークに関連する仕様変更を迅速に進め、テストネットやクライアントリリースのスケジュールを遵守することに注力している。今回のアップグレードにより、ネットワークの安定性と効率性の向上が期待されている。