主要ブロックチェーンのイーサリアム(ETH)は7日、Pectraアップグレードを実施した。
Pectraアップグレードの主な内容
Pectraは、過去最多となる11件のEthereum Improvement Proposal(EIP、イーサリアム改善提案)が実装された、イーサリアム史上最大規模のアップグレードだ。
主要なテストネットであるホレスキー、セポリア、フーディでの試験を経て、今回メインネットへの導入に至った。
本アップグレードでは、バリデータ(検証者)の運用効率やユーザー体験の大幅な向上、さらにレイヤー2(L2:拡張性向上のための第2層ソリューション)によるスケーラビリティ強化が図られている。
特にEIP-7702では、スマートアカウントウォレット機能が実装され、ユーザーのウォレットが一時的にスマートコントラクトとして動作できるようになった。
この機能により、外部アプリケーションがガス代(取引手数料)の支払いを肩代わりできるため、ユーザーがETHを直接保有していなくてもサービスの利用ハードルが下がると期待されている。いわゆる「フリーミアム」モデルの普及も見込まれる。
レイヤー2の拡張とバリデータ運用の最適化
Pectraアップグレードでは、L2ブロブデータ容量が従来の2倍となり、ネットワーク全体の処理能力とスループットが大幅に増強された。
これにより、L2ネットワーク上でのトランザクションコストや取引速度が向上し、アプリケーション開発者や利用者の利便性が高まっている。
また、バリデータ操作の効率化や管理機能の改善も盛り込まれている。3月に実施されたDencunアップグレードで導入されたプロト・ダンクシャーディング(EIP-4844)を土台に、今回のPectraでネットワークの拡張性と安全性がさらに高められた格好だ。
今後の注視点とコミュニティの動向
Pectraは複雑なテストプロセスと過去のアップグレードで得た知見を活かして設計された。今回の導入直後24時間は、コミュニティ全体でネットワークの安定性や潜在的な問題を監視する予定となっている。
ビットコイン(BTC)もまた、イーサリアムと同様に進化を続ける主要な暗号資産(仮想通貨)の一つだ。
今後の仮想通貨市場の動向にも注目が集まっている。イーサリアムは今後も、ユーザー体験の向上とネットワークスケーラビリティの強化を両立させる開発方針を継続するとみられる。