イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は20日、ネットワークのレイヤー1ガスリミット引き上げに関するバリデーター投票が進行中であると明らかにした。
現在、ステーキング参加者の約半数が、ガスリミットを現行の3730万から4500万へ引き上げることに賛成している。この動きは、スケーラビリティ向上を目指すコミュニティ主導の取り組みの一環だ。
技術的背景と市場からの圧力
ガスリミットは各ブロックで処理できる計算量を定める指標であり、ネットワーク性能に直結する。ブテリン氏によれば、ガスリミットはすでに3730万に達しており、さらなる引き上げに向けた議論が進められている。
過去には、ノードへの負荷増大や中央集権化への懸念が根強く、慎重な対応が求められてきた。しかし、Gethクライアントの最適化によりアーカイブノードのリソース消費が改善され、こうした懸念は軽減されつつある。
一方、技術面だけでなく市場からの強い圧力もある。イーサリアム価格の上昇とともに、ユーザー数が増加しており、それに対応できるスケーラブルな取引処理能力が求められている。
こうした市場の動向は、多くの投資家にとって仮想通貨投資の判断材料となる。
今後の合意形成とスケーリング戦略
今回の引き上げは、ブロック全体のガス上限を対象とする。一方、トランザクション単位での制限を導入するEIP-7983のような措置も進んでおり、両者を組み合わせた最適化が図られている。
今後、引き上げを正式に反映させるには、バリデーター間の合意形成が不可欠だ。
コンセンサスが得られれば引き上げは加速する見込みだが、長期的な手数料の動向やノードのアクセシビリティについては、引き続き議論が続くと考えられる。
ステーキングが担う役割も大きく、分散型ガバナンスにおける実装の柔軟性が問われている。