イーサリアムNFTマーケットのX2Y2、AI事業転換で閉鎖へ

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イーサリアムNFTマーケットプレイスからAIへの事業転換を表現した概念図

イーサリアムベースの非代替性トークン(NFT)マーケットプレイスX2Y2は31日、2025年4月30日に事業を終了すると発表した。

X2Y2は2022年2月に立ち上げられ、短期間で大手NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)に対抗する存在として成長。一時はOpenSeaを上回る取引量を記録し、これまでの累計取引高は56億ドル(約8344億円)を超え、かつては業界2位のNFTマーケットプレイスとしての地位を確立していた。

同社によると、サービス終了後もX2Y2のスマートコントラクトは引き続き機能するため、ユーザーはコントラクトとの対話は可能だが、即座の出金はできなくなる。

NFT市場の衰退が閉鎖の主要因

X2Y2の閉鎖決定は、主にNFT市場の著しい衰退が影響している。NFT取引量は最盛期から約90%減少しており、Blurなどのより新しいプラットフォームとの競争が激化する中、X2Y2がその地位を維持することは困難になっていた。

X2Y2の創設者TPは「あらゆる努力にもかかわらず、ネットワーク効果に依存するマーケットプレイスの競争的性質を考慮し、チームは次のステップに進む時期と判断した」と述べた。

NFT業界全体が投機的活動から価値重視の市場へと移行する中、多くのマーケットプレイスが持続可能性の課題に直面している状況だ。

AIプロジェクトへの事業転換

X2Y2チームは今後、暗号資産(仮想通貨)業界における人工知能(AI)プロジェクトに焦点を移すことを明らかにした。チームはAIが長期的な成長にとって重要な機会を提供すると考えており、過去1年間にわたりこの分野を探索してきた。

この方向転換はX2Y2独自の戦略というだけでなく、新しい仮想通貨セクター全体でAI駆動型ソリューションを模索する企業が増加している広範なトレンドを反映している。

閉鎖発表を受けて、X2Y2のトークン価格は大幅に下落し、このような戦略的変更に対する市場の即時反応が明らかになった。

業界関係者からは、NFT市場の成熟化に伴い、今後も同様の事業再編や市場統合が進む可能性があるとの見方が示されている。このようなNFTマーケットプレイスの変化はイーサリアム(ETH)エコシステム全体にも影響を与え、仮想通貨業界の新たな展開を促しているといえる。

渡貫 宗

2021年に仮想通貨投資を始める。以降、同分野での専門的な知識を深めながら自身のブログ・ライターとしても活動。仮想通貨に関する深い理解を活かして複数のメディアで多くの記事を執筆。初心者に寄り添った簡潔な解説を得意とする。