仮想通貨市場、2025年第1四半期の取引活動が大幅に減少

私たちを信頼する理由
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減少傾向を示す仮想通貨取引チャートと、ビットコイン、イーサリアムの中でわずかに上昇するソラナのシンボル

暗号資産(仮想通貨)市場における2025年第1四半期取引量はこのほど、大幅な減少を記録した

中央集権型取引所(CEX)および分散型取引所(DEX)の両方で取引活動が低下している。

特に現物取引は、ビットコイン(BTC)については2024年8月以来、イーサリアム(ETH)については2023年12月以来の低水準となった。

2025年第1四半期の仮想通貨市場は、取引量と時価総額の急激な落ち込みを特徴とする大幅な下落を経験した。

CEX上位10社の合計現物取引高は、前期比約16.3%減の5.4兆ドル(約772兆円)であったと報告されている

市場全体の1日平均取引高は、2024年第4四半期から27.3%減少し、2025年第1四半期には平均1460億ドル(約20兆8800億円)となった。

主要な仮想通貨であるビットコインの価格も、期間中に11.8%下落した。

市場全体が縮小する中でも、大手取引所のバイナンス(Binance)はその地位を維持した。しかし、同社も取引量の大幅な減少を経験している。

取引量減少の背景にある要因

今回の取引活動の鈍化には、いくつかの要因が複合的に影響している。根強い景気後退への懸念や世界経済の不安定さが、投資家心理に大きく影響し、取引活動の縮小につながった。

また、地政学的な出来事や、特に米国における政策変更を巡る不確実性が市場の変動性を高め、投資を抑制する要因となった。

市場全体の流動性が低下していることも、仮想通貨取引の低迷に拍車をかけている。

さらに、投資家の間でより安全な資産への関心が高まっていることも見逃せない。金や米国債といった伝統的な安全資産への資金移行が、仮想通貨への熱意を相対的に低下させている側面がある。

個別銘柄の動向と市場への影響

全体的に取引量が減少する中で、いくつかの個別銘柄では異なる動きも見られた。イーサリアムの取引量が減少した一方、ソラナ(SOL)はわずかながら取引量の増加を示した。

これは、比較的小規模なアルトコインに対する市場の好みやトレンドに変化が生じている可能性を示唆している。

市場の信頼感という点では、過去のセキュリティ事件も影響を及ぼしている。

例えば、大手取引所のバイビット(Bybit)で発生したハッキング事件のような出来事は、CEXに対する投資家の信頼感を低下させる一因となった。

この期間、ビットコインや他の主要な仮想通貨は、伝統的な資産と比較してパフォーマンスが下がった。

これは、現在の市場で投資家が、仮想通貨に対してリスク回避的な姿勢を強めていることを反映していると言える。

しかし、一部の専門家は、仮想通貨 長期保有の観点からこのような下落局面こそ、投資機会となり得ると指摘している。

著者: 松田 明日香

暗号資産投資を2020年に始め、ビットコインやNFT、DeFiなど複数の分野で投資経験を有する。2025年1月にICOBenchに参加し、専門的な暗号資産ライティングを手掛けている。