大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)は6日、ゲーム開発会社のライアットゲームズとの提携を発表した。
オンラインゲームのリーグ・オブ・レジェンド(LOL)およびヴァロラント(VALORANT)のeスポーツ大会における取引所および公式ブロックチェーン技術パートナーに就任したと発表した。
グローバルな提携とイベントでの取り組み
今回の提携により、コインベースは両タイトルの世界的なeスポーツイベント全体でパートナーシップを展開する。
最初の取り組みは6月7日に開幕する世界大会のVALORANT Champions Tour(VCT)Masters Torontoからスタートする予定だ。
ファン参加型の新施策として、配信内で独自の分析コーナー「Econ Report」(VALORANT)や「Gold Grind」(LoL)などが設けられる。
これらは試合中のゲーム内通貨動向や、それがチーム戦略へ与える影響をリアルタイムで解析し、観戦体験をより深める内容となっている。
大会期間中はさらに、ファン向けの現地イベントやホスピタリティ施策、限定のゲーム内アイテム特典(コスメティック報酬)や、視聴者が受け取れるデジタル報酬、賞品プレゼントも予定されている。
対象となるイベントは、VALORANTのMastersやChampionsステージ、LoLのFirst StandやMSI(ミッドシーズンインビテーショナル)、世界大会など多岐にわたる。
仮想通貨業界とeスポーツの接近、ファンの期待と懸念
近年、eスポーツ業界では仮想通貨やブロックチェーン企業との連携が増加傾向にある。
コインベースは既に複数のeスポーツ団体やNBAのゴールデンステート・ウォリアーズ、ドイツブンデスリーガのボルシア・ドルトムント、F1のアストンマーティン・アラムコなどともスポンサー契約を結んでいる。
一方、過去にはライアットゲームズと仮想通貨取引所FTXの大型契約がFTXの破綻により頓挫した経緯もあり、ファンや業界関係者の間で資金面や信頼性への警戒も根強い。
eスポーツ業界そのものも近年は財務的な課題を抱えているため、新たな収益源の確保や持続的な運営に向けた動きとして、アルトコイン市場で本提携が注目されている。
なお、今回のパートナーシップには仮想通貨による直接取引や、ゲーム・大会プラットフォーム上でのブロックチェーン機能導入は現時点で含まれていない。
コインベースのブランドや分析コンテンツは配信やデジタルプラットフォーム上で展開されるが、ゲームのプレイ体験自体には影響しない形となる。
ファン体験と今後の展望
今回の提携により、ファンは大会視聴を通じてデジタル報酬の獲得や、新しい形式の分析コンテンツを楽しむことができるようになる。
従来の観戦スタイルに加えて、仮想通貨投資という観点からeスポーツ文化の変容も今後注目されている。
提携に関する契約期間や金額などの詳細は明らかになっていないが、今後のeスポーツイベントやファン参加施策の進展が期待される。