暗号資産(仮想通貨)取引大手のコインベースは3日、トークン管理プラットフォームを手がけるLiquifiを買収した。
Liquifiは、トークンの配布や権利確定、税務対応などを自動化するプラットフォームを提供しており、Uniswap FoundationやOP Labsも同社のサービスを利用している。
機関投資家向けサービスの拡充
今回の買収は、仮想通貨市場への参入を進める金融機関の間で、高度なコンプライアンス対応やトークン管理業務の効率化に対するニーズが高まっていることを背景としている。
特に、管理業務の複雑さやコンプライアンス確保の難しさから、こうした課題を解決するプラットフォームへの関心が強まっている。
Liquifiの自動化ソリューションは、エアドロップや権利確定スケジュールの管理といった作業を効率化し、手作業による誤りを防ぐ。
こうした機能は、コインベースの機関投資家向けサービスCoinbase Primeに組み込まれ、トークンの発行から保管、取引、融資までを一括でサポートする基盤となる。
これにより、同社はトークンのローンチや上場の前段階からプロジェクトに関与できる。
現在、トークンのローンチには法務や税務、資産配布など複雑で分断されたプロセスが求められるが、Liquifiの自動化はこれらの負担を軽減し、プロジェクトが技術革新に専念できる環境を整える。
積極的な事業拡大と市場の反応
今回の買収は、2025年におけるコインベースの成長戦略の一環である。
同社は今年に入り、仮想通貨広告のSpindl、プライバシープロトコルのIron Fish、デリバティブのDeribitに続き、今回で4件目の大型買収を実施。特にDeribitの買収額は29億ドルに上った。
Liquifiの買収は、トークン発行に関する規制の明確化や緩和を見据えた動きとみられる。トークンの作成と配布を簡素化する取り組みは、ブロックチェーンを基盤とした金融商品の普及を後押しする。
買収の発表を受け、コインベースの株価は時間外取引で約2%上昇した。
投資家は同社の戦略的な動きを好感している。このような動きは、今後さらに新しい仮想通貨が市場に登場する土壌を後押しする。