暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは9日、米国初となる24時間対応のビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)先物取引サービスの提供を開始した。
この取り組みは、米商品先物取引委員会(CFTC)の規制下にあるコインベースの子会社「コインベース・デリバティブズLLC」によって実現された。
これにより、米国の個人投資家および機関投資家は、BTCの先物取引を平日・週末を問わず、いつでも行うことが可能になった。
24時間取引を支えるインフラとパートナー
今回の24時間体制の実現には、複数のパートナー企業が重要な役割を果たしている。
清算インフラはCFTC規制下のデリバティブ清算機関(DCO)の「ノーダル・クリア(Nodal Clear)」が担い、24時間の取引が安定して行えるようにしている。
また、大手マーケットメイカーの「ヴァーチュ・ファイナンシャル(Virtu Financial)」が流動性確保を支え、取引の円滑化に貢献する。
他にも大手投資銀行の「ABNアムロ」や証券会社の「ウェッドブッシュ証券」などが業務面で協力している。
取引にはコインベースの上位プラットフォーム「コインベース・アドバンスト」を利用でき、個人・機関を問わず広範な顧客層がアクセスできる設計となっている。
ビットコイン(BTC)などの仮想通貨取引は世界中で24時間絶えず行われているが、これまで米国の規制下で24時間対応のレバレッジ先物取引を提供するプラットフォームは存在しなかった。
コインベースはこうした市場の課題に対応し、世界の時間帯と連動した先物取引の提供を可能にした。
同社は今後、満期日がない「無期限先物(パーペチュアル・コントラクト)」の導入も予定している。これにより、米国内でもより柔軟かつ多様な投資戦略が可能となる見込みだ。
投資家にとってのメリットと市場への影響
コインベース・デリバティブのボリス・イリエフスキーCEOは、今回の24時間体制実現はCFTCとの緊密な連携の成果であると強調した。
さらに、イーサリアム(ETH)も対象であり、コインベース・フィナンシャル・マーケッツのアンディ・シアーズCEOは、「誰でもいつでも取引できる環境は市場の起爆剤だ」とコメントしている。
この新サービスは、リスク管理面でもパートナー企業のサポートで堅牢な基盤が整えられている。
機関投資家や個人投資家の双方にとって、米国規制下で安心して仮想通貨の先物取引を24時間利用できることは大きな意味を持つ。
コインベースによる今回の動きは、米国内の仮想通貨デリバティブ市場での地位強化と、今後のさらなる市場拡大を示唆している。